分析化学I過去問解答(澤田教官分)
問題1
(1) ほぼ 0mol/l
(2) 全安定度定数
( , , より)
(3) ,
問題2
(1) 金属指示薬は金属イオンと錯形成することによって明瞭な色の変化を引き起こし、金属イオン濃度の変化を知ることができる。キレート滴定の終点の検出に使用する。その際には当量点ではっきりと色が変わるように水溶液のpHを調節しなければならない。
(2) 濃度とは一定量の溶液中にある物質がどれだけ入っているかを示す値。しかし、イオン相互作用などにより微視的に見ると溶液は均一ではないので、実際に働く濃度を活量と呼び、aで表す。
(3) 。ガラス電極はpH測定に使用される。ガラス薄膜を隔てて一方にpHを測定したい溶液を、他方にpH既知の緩衝溶液を入れ、それと参照電極との間の電位差を測定することによってpHが求められる。その精度は、通常小数点以下2桁程度である。
問題1
チオ硫酸ソーダNa2S2O3溶液によるヨウ素の滴定は、
半反応式 及び より
と表される。
反応式 を考えると、銅のmol数はチオ硫酸ソーダのmol数と等しいことが分かる。
よって、銅の割合をxとすると、
これを解いて よって7.6%
問題2
・分離方式
吸着クロマトグラフィー、(溶解度の差による)分配クロマトグラフィー、(分子ふるい効果の)サイズ排除クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動など。
・検出方式
熱伝導度検出器など。質量分析計と直結したものも多い。
・定性方式
保持値の違い、選択的検出器の利用、スペクトル分析など。
・定量方式
ピーク面積を測ることによって得られる。半値幅法、検量線法、標準添加法など。
(1)~(3)
先生が「去年分析装置の設計の問題を出したら散々だったので採点から外した」と言っていたのでおそらく出ません。
問題3
(1) 全ての強酸は水溶液中で完全に解離し、その溶液中に存在する酸はH3O+だけになる。つまり、水の中ではH3O+より強い酸は存在しないことになる。これを水平化効果という。
(2) 当量点とは、滴定においてある反応が過不足なく起こる量の滴定溶液を加えた点(?)。終点とは、滴定の指示薬が変色し、滴定を終了する点。滴定では終点を当量点に一致させることが重要である。
(3) 多座配位子との金属錯体をキレートと呼ぶ。キレートは一般に単座配位子による金属錯体より安定であり、そのことをキレート効果と呼ぶ。(キレートとはギリシャ語でカニのはさみの意。)
(4) 目的の金属イオンを直接キレート滴定することが困難な場合に行う。目的金属イオンの当量より過剰のEDTAを加えて煮沸し、完全にEDTA錯体とした後、未反応のEDTAを適当な金属イオン標準溶液で滴定することにより、目的の金属イオン濃度が決定できるという手法である。
(5) ガラス電極はpH測定に使用される。ガラス薄膜を隔てて一方にpHを測定したい溶液を、他方にpH既知の緩衝溶液を入れ、それと参照電極との間の電位差を測定することによってpHが求められる。イオン電極は、難溶性の塩のdisk(薄膜)の一方に濃度未知の金属イオン溶液を、他方に濃度既知の溶液を入れ、それと参照電極との間の電位差を測定することによってイオン濃度が求められる。
かなり不完全だと思うので、間違いとか見つけたら教えてください。遅くなってすみません。試験は講義プリントとノート持ち込み可なので、何としてもプリントを手に入れましょう。あと関数電卓必須です。
作成:森 さやか g040304@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp