その6 六日目


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時刻表('01/08/02)

福山発
10:30
福塩線(105系2連)
府中着
11:13
12:09
福塩線(キハ120単行)
三次着
13:34
14:17
芸備線(キハ40単行)
備後落合着
15:24
17:44
木次線(キハ120単行)
宍道着
20:20
20:56
山陰本線(キハ47 2連…1000番台+0番台)
米子着
22:02
22:55
山陰本線急行「だいせん」キハ65 `エーデル'2連
福知山着
4:33
4:40
115系(切妻改造) 2連
綾部着
4:52

寝過ごしたぁっ!

朝、目が覚めると頭も体も非常にすっきりしている。なぜだか分からないが健康だ。
…と思って時計を見ると、9:35分!!! 目覚まし、ちゃんとセットしたのに。私が今回買って新しく持っていったCASIOの携帯用目覚まし時計は1分間しかアラームが鳴らないのだ。
昨日までのスケジュールを考えると、1分程度で朝5:00(予定)に起きられる方が変かもしれない。

さて、本当は今日6:25福山発の福塩線に乗らないと計画がうまくいかないのであるが(計画参照)、もう取り乱していても仕方ないので10分で計画を立て直す。一昨日いわれたとおり「ロスが多い」計画だから、ちょっとだけ冗長コースを削ってしまえば大丈夫である。とはいえ、少し楽しみにしていた因美線・若桜鉄道・姫新線を切らなければならなくなった。残念無念。

ふと、今日一日は休みにして明日の朝から計画を再開すればホテル代1回分だけで済むのではないかという計算もよぎったが、悲しいかな、昨日の記録を見ていただければ分かるように、0時をすぎた段階で最後に車掌に青春18きっぷの印を押してもらってしまっている。もうこれは行くしかない。

福塩線・芸備線の旅

ということで、まあとにかく福塩線に乗った。電化区間の府中までは、105系2連。宇部線とか福塩線とか、ここら辺で使われてるかわいい奴だ。
それなりに混んでいる。数駅でみんな降りるのは分かっているが、地方交通線の命は大都市周辺の何駅かだからね。そんなものよ。

因美線と姫新線を逃したことが頭の端で悔やまれていたが、広く明るい田園の中を走っていくうちにだんだんどうでもよくなってくる。

府中にはすぐに到着した。ここからずっと非電化区間となる。三次行きが来るまで1時間近く待つことになったが、駅から外へ出る気にはなれなかったので出発を待つキハ120の中で時間をつぶした。

このキハ120は、JR西日本版1000系ってな感じの代物である。出力は強く、車体は軽く、オートマ制御で、ブレーキや加速までコンピュータの支援付き。車体は小さく、余計なスペースやトイレを廃して経済性を重視している。嫌だよね。こういうの。でもこの地域、芸備線と姫新線以外ほとんどこいつになってしまっているので仕方ない。
まあ、前面がほとんどガラスだから前面展望がよくて、そういう意味ではレールバスも悪くないんだけれども(キハ40や58、115系などはあまりに前面がごついため、展望は悪い)。

田園を走っている途中、6本入りの缶ビール箱を持った酔っぱらいが乗ってきた。女性を中心に絡み、「キーホルダーやるよ」とか「ビール呑めよ」とか迷惑な誘いを始めるし、運転士に
酔っぱらい「暴力はいけませんか」
運転士「いけませんっ」
酔っぱらい「じゃあ、酒は飲んでもいいですか」
(といいつつ、電車が止まったのに合わせて転ぶ。俺の足にビールかけやがった)
運転士「あぁもういいから座っとって」
彼はその後も「俺は備後落合行くんだ〜」といった数秒後に「俺は広島行くんだ〜」とほざいて運転士を困らせたりしていた(註:芸備線で広島と備後落合は逆方向)。

私は芸備線に乗り換えるので、「塩町」駅で本来は降りなければならないのだが、こんな島式ホーム一面しかない駅で40分も待っていられないので、この地方の一大都市である三次市まで出ることにした(芸備線もどうせ三次発だから問題なし)。

三次はこんな中国山地の真ん中にあるのに、交通の要衝でありまた工業団地などもあって栄えている街である。鉄道でいえば芸備線・三江[さんこう]線・福塩線である(もちろん今の中心は道路輸送だけどね)。
芸備線の発車まで時間があるので、街を歩いてみた。それほど大きくはないけれども立派な街だ。ショッピングセンターのミスタードーナツまで行って帰ってきただけなので、あまり街の本質に近いことは分からなかったけれども。

三次発14:17の列車に乗るために、芸備線ホームへ急ぐとそこにはキハ40単行が待っていらっしゃった。おお。こんなところでキハ40単行様に会えるとは。胸が幸せでいっぱいになる私(←変か?)。説明するとキハ40や47は今や、芸備線の広島付近や姫新線の姫路付近ぐらいでしか運用されていないという情報があったので突然の邂逅に喜んでいるわけね。

芸備線は線路状態が悪く、乗り心地がよくないという噂があるが、そんなことも感じさせずキハ40様は田園地帯を飛ばしていく。備後落合駅まで川(西城川のはず)に沿って上っていく。この川も非常にきれいな清流で、電車の上からでも川の底までクリアに見えた。

清流の秘境、備後落合

備後落合駅に着いて唖然。木次線の出発駅かつ芸備線の乗り継ぎ駅なのに、駅はさびれた無人駅である。駅を出るとあるものは、

  • 数件(10くらい)の人家(商店をかねている)と名前ばかりの旅館。
  • 山。
  • 清流。
  • 国道183号線。
以上。目をつむると感じられるものは、
  • まばゆい陽光。
  • せせらぎの音。
  • 蝉時雨。

そのまま、引き寄せられるように川へ向かった。
靴と靴下を脱いで川に入り、手足を浸す。

全身が血液から冷えてゆく清涼感 !

温度計では35度あるが、体はすっきりしたままで汗もかかない。顔を洗い、冷たい水を手ですくって飲むと、鮎やニジマスを食べたときほのかに香るかおりがした。川の上流特有の、石についた苔の匂いだ。

あー気持ちいいわ。本っ当に。

木次線は一日4本しかないから、17:44の最終列車(笑)まで2時間も待たなければならないのだが、岩に腰掛けて水に身を任せているだけで数十分など、すぐに経ってしまう。

やっぱり旅行ってのはこうあるべきですよね。特急で向かう定められた観光地、みんなが行くような寺、地方都市の漫遊、それもいいけど、私はそんなものを求めているわけじゃない。普通の人が非合理だと無視してしまうようなところに各駅停車で足を向けて、こんな場所を見つける。若いうちにしかできないことだ。

1時間ぐらいして、小さな駅に戻るとB5ノートが用意してあり(写真)、旅の途中に立ち寄った人々の書き込みがしてある。多くは一本前のトロッコ列車で来た人々であるが、毎日書き込みがされており、それなりに多くの客が毎日、ここを通り過ぎていくのだなあと思った。
今日の朝の分を見ると、…「東京都板橋区 城北高校鉄道研究部…云々」。
ちょっと萎える私。

木次線紀行

17:30過ぎになってレールバス キハ120単行に乗り込む。中では老運転士が一人で出発の準備を終え、ゆっくりとしていた。
「お客さん、どこから?」
などといって話しかけてきたので、会話が始まる。私の旅程の話、今まで通ってきたスイッチバックの話など。
運転士「おっと、発車しなきゃ。普段はこの辺はお客さん乗らないから、発車一分前に信号が青になって発車するだけなんだよ。孤独ですよ〜」

普段乗らないと言い切るぐらいだから、本当に乗らないらしい。今日は私ともう一人、若い男性が乗っている。
運転士「だってこのあたり、人が住んでないもの。イノシシはよく出るんだけど」

などと、 運転士と会話している間にレールバスは国境の峠越えにさしかかる。
運転士「この峠は昔、キハ52,53で大体越えてたねぇ。キハ58+28だとエンジン3台だからぎりぎりで。今40km/h出てるでしょ。58+28だと30km/hは出ないからね。」
私「やっぱりこの車両はいいですか」
運転士「いいよー(かなり強調)。パワーは強いし、ちゃんとブレーキがかかるし(←おい)、ユルメ(ブレーキを切って惰性で走ること)にすればちゃんとゆるむし。8年前から導入されたんだけどだんだん改良型になってきて、もう、キハ120に乗っちゃったら他の気動車なんて乗れない乗れない。軽快すぎるから曲線や強風ですぐに速度が落ちちゃうっていう欠点はあるけどエンジンが強いからね。確かに重いキハ40とかは風もカーブも何のそので走ってくから、あれが導入された当時はよかったんだけど、あれもなにぶん古くなりまして」

おいおい、そんなに客としゃべってて大丈夫か運転士さん? と思ったが、数秒の遅れもなくサミット(峠最高点)の三井野原に到着。
運転士「あの踏切が最高点なんですよね。冬は豪雪だから、あそこは鉄道も車もよく雪に突っ込んで止まるんですよ(笑) 踏切は特に、念入りに除雪しておかないとスピードが『うー(、と指でスピードメータのまねをして)』っという間に落ちてくるから。そういうときにはスコップを持っていって踏切の除雪して、それからクリアするんだよ。つい数ヶ月前にトラックが立ち往生しているところに同僚の運転してる気動車がぶつかっちゃって、それでトラック運転手が怪我しちゃったんですわ。鉄道の運転士は別に何ともなかったんやけど、これだけ前面が弱いと私もぶつかるのが怖いよね。40とかはどうしようもないほど丈夫だけど、もうこれはぺらぺらだからね。非常ブレーキかけて、もうやることがなくなったら私もそこ(2mぐらいのところを指さす)ぐらいまで逃げると思いますよ。運転台で怪我するのは嫌だし、非常ブレーキかけてから止まるまでって何秒間か時間があるからね」

峠を下り始めると、左に国道314号線のすごいループ橋が見えた。上の地図で、鉄道が走っているのが谷の周りの山、ループ橋は谷の真ん中にあって二重ループで一気に高低差100m以上を降りていく。これを作るのにも相当な工費と工期がかかったそうだ。わざわざ減速して観光案内までしてくれた。

鉄道はループ線を使わず、スイッチバックで出雲坂根の駅へ下っていった。出雲坂根のスイッチバックも、鉄道好きにとっては聖地の一つ。今年の6月まではスイッチバックの後に駅でタブレット交換という、もう鉄道ファンが号泣して喜ぶようなシチュエーションがあったのだが(これだけのために奈良から最低、毎月2回以上木次線に乗りに来て写真を撮っていたという木次線フリークもいたという)、木次線のタブレット閉塞は6月で廃止、数ヶ月後に導入されるCTC(列車集中管理)の移行期間として今は駅が連絡をとりあいながら、手動で信号をかえているらしい。

っていうか一日4本だからさ、タブレットでもいいんじゃないか?

出雲坂根は「延命の水」という湧水が出ていて、ホームで飲むことができる。うん、非常に冷たい。
運転士「改札のところにおみやげショップもあるから、停車時間の間に覗いてみてくださいね」
ということで、改札に行くと
運転士&交換列車の運転士「はい、ループ橋饅頭とかテレカとかいりませんか?」
って、あんたかい?

まあね、人が乗らない無人駅で乗客の相手をするJR職員は運転士しかいないけどな。

この数駅の峠を越えるだけで、列車は1時間ちかくかかる。峠のせいで木次線は80kmちょっとを行くのに2時間以上もかかるのである。
峠を降りた駅、出雲横田で高校生が13人、大人が1人乗ってきた。駅の近くに高校があるのだ。今日は夏休み中でも「代ゼミセンター模試の受験日」だったらしく、みんなで答え合わせをしながら一喜一憂している。
青年「あ゛あ゛〜俺英語35点だぁ」
彼はたぶん運にさえ見放されているのだな。でたらめにマークしても35点はとれそうなものを。

出雲横田は大社造りの駅である。 全国でも珍しい駅の一つだ。これは、近くにある「稲田神社」にちなんでいる。「稲田」と聞けば、分かる人は分かると思うけど、古事記などの八岐大陀伝説に出てくる「櫛名田比売[くしなだひめ](奇稲田姫)」を祀っている。さすが出雲の国に来たものだなと思う。しかし、櫛名田ってのも人権侵害されまくりな人ですわな。なにしろまず大蛇の生贄にされて死ぬ思いした上に、大蛇を倒した素戔嗚尊[すさのおのみこと]と結婚する羽目になって。助けてもらった立場上、スサノオがどんな人でも従うしかないじゃない? 伝説はどうあれ、スサノオがどんな体力バカだったか鬼畜野郎だったかなんて分からないもんね。
大蛇に食われなかった代わりにスサノオの餌食(^_^;…おっと、伝説が曲がってきたので次の駅に行こう。

次の亀嵩[かめだけ]駅はそば粉100%の駅そば屋が名物である。っていうか、列車が滅多に来ないところでやってるのが名物なんだろうな。予約しておけば列車の中まで届けてくれるはずだから、行く機会のある人は頼んでみよう。580円だぞ

次の出雲三成駅で5人残してほとんど降りてしまう。
運転士「時間調整で止まります」
そしておもむろに鍵を抜いて駅の外のコンビニへと直行する(笑)。 私もついていった。沿線でコンビニが駅の近くにあるのはここだけなので、夕食はここで調達しなければならないのだそうだ。彼はパンとコーヒー(ミルクだったかな?)、私はおにぎりを買った…のだが、先に買い物を済ませた運転士が異様にそそくさとホームへ歩いていくっ。ちょっ、ちょっと待ってよ。焦る私。「交換」なら、対抗列車が来ないうちは安心していられるんだが、「時間調整」はそうじゃないからいつ発車するか分からない。

列車につくと運転士はスタンバイして待っていてくれた。
そこからは海抜ほぼ0mの宍道駅(宍道湖畔にある)まで、田園の中を緩やかに降りていく。
運転士「昔腕木式信号機(ヤノハ)だった頃は、暑さでワイヤーが伸びちゃって信号が青か赤か分からない状態で止まっちゃうことがあってね。するとATSが動作しちゃってどうしようもなくなっちゃったんだよ。場所によっては今でも指令センターに無線が届かないしね」

地域の中心都市の木次(運転区もここにある)をすぎると、客はほとんどいなくなる。終着駅付近なのにねぇ。朝晩は松江に通う高校生でそれなりに混み合うということだが、晩でも今は方向が逆だから客はいない。

終点の宍道駅に定刻通り到着。ここで一応新型特急「スーパーおき」号米子行きに接続する。乗客の一人はスーパーおきに乗り込んでいった。キハ187系気動車2連は軽快に米子へ向かっていった。私が乗るのは、当然この後の各駅停車。
さて、運転士は折り返し列車(下り最終列車)で木次の本部へと帰るらしい。
私「どうも、お疲れさまでした」
運転士「じゃあ、ありがとうございました」
彼は、そのまま職員の詰め所に入っていったが、詰め所には人がおらず、電気さえついていない。宍道駅もまた、無人なのである。彼は自分で鍵を開けて、電気をつけて休憩するのだろう。なんというか、無人駅と無人駅の間をほとんど客なしのワンマンカーで往復する仕事っていうのも、本当に孤独なものだね。

気動車天国 山陰線

よってくる虫をたたきながら列車を待っていると、闇の中から国鉄色キハ47 2連がお出でになった。ああ恋しや国鉄色キハ4x様。おまけに、米子行きのはずなのに行き先表示が出雲市行きになっていらっしゃるっ。ここは宍道。米子と出雲市の間にある。おまけに、ここでは米子行きと出雲市行きが交換することになっている。

では、この列車はどっち?

宍道湖が南側で、この列車は西から来たから、米子行きだろうな。
そう考えて乗ると、果たしてその通りであった。 ワンマン運転だとこういうミスもあるのだろうか。2,3駅行ったあとに指摘すると
運転士「え? 本当ですか?」
私も一回だけ、「池袋」という行き先表示をつけたまま飯能へ走っていく急行電車を見たことがあるけれど。

日が暮れた宍道湖と中海に沿って、列車は米子へとひた走る。山陰本線はさすが「本線」といわれるだけあって、各駅停車でも85km/h以上出して心地よく駆け抜けていく。
米子にはキハ58国鉄色、キハ47国鉄色などがたくさん止まっている。国鉄型気動車は、古くなって塗り直されるときに、普通はその地方の色に塗り替えられてしまうのだが、米子では国鉄色(キハ4xならこんな色、キハ58+28ならこんな色。)が維持されている。素晴らしい。

米子はけっこう大きな駅である。今は深夜なので大したものはないが。とりあえず駅の外に出てみると、C57の動輪が展示されている(写真)。横にはジュークボックスっぽい物体が。
とりあえず、「米子の女[ひと]」 をかけてみるとしよう。駅前広場全体に響き渡るような音で演歌がかかる。しかし、「米子の女」というのは聞いたことがないな。「函館の女」とか「箱根の女」とかは有名だし私もCDを持ってるけど(笑)、米子の女ってのはちょっと… 米子市が自主制作したとか?

ここからは、夜行急行「だいせん」大阪行きで 福知山まで出る。この「だいせん」というのがまた、昔から漢らしい列車として知られているのだよ。
以前はDD51+14系客車、利用者が減った今はキハ65 2連という何ともロマンあふれる編成。このロマンは何というか、説明しようもない。キハ65は1960年代の後半あたりから、キハ58のパワーを強くして冷房を完備させ、急行運転により適した気動車として作られたもの。崇拝者は多く、みなさま「ロクゴ様」としてキハ65をあがめている
私はそれほどあがめているわけではないが、愛していることは確かだ(おい)。

22:40頃、静かに入線してきたのは「キハ65 エーデル」。これは、ただのキハ65ではない。北近畿地区のローカル特急用にJRが改造したタイプのキハ65で、窓を大きくして片方を展望車に改造、椅子は新幹線と同じようなタイプになっている。これなら夜行でも楽にいけそうだ。

とはいえ、この乗客の少なさはなんだろう。同じ夜行タイプの「ムーンライトながら」などは、すぐに予約は切れてしまうわ、増発快速が出ても2時間ぐらい並ばないといい席がとれないわで大変なのに、たった2両編成の「だいせん」に乗ってきたのはせいぜい10数人。
おまけに、大体倉吉〜鳥取ぐらいで降りてしまった(倉吉までは快速)。 これならディーゼル単行でも十分どうにかなりそうではあるが、まあ、夜行である以上洗面所とトイレ、冷水機、荷物置き場くらいは必要だから2連はやむを得ないだろうな。

このロクゴ様、発車時のうなりはかなりのものだが、アイドリング時はかなり静かだ(車内は、ね)。そして、大坂まで一気に飛ばしていくと夜が明ける前についてしまうので止まる駅で時間をつぶしながら行く。
この停車駅で少し途中下車して夜風に吹かれてくるというのも、また旅情をそそるのだ。

1.鳥取駅。0:26着、1:17発。49分停車。

鳥取には駅の近くに温泉があり、24時間営業しているところもあるのだが、そこに行っているほどの時間はない(本当は今日寝過ごさなければ行くはずだった)。
改札口に出ると、「20:40以降、この駅は無人になります」と書いてある。なんと、あの県庁所在地鳥取駅でも、20:40(特急の最終便)で無人になってしまうのだ。駅前をぶらぶらして、その後コンビニでジュースとパンを買ってきた。
まだまだ時間はあるのでホームをぶらつく。鳥取駅の列車本数はお世辞にも多くはないし非電化なのに、立派な高架駅だ。ちょっと不調和に思えなくもないかな。

2.浜坂駅。1:48着、2:03発。15分停車。

えっと、何かあったかしら。ここ。小さい駅だったのは覚えるけど…。

3.香住駅。2:21着、2:37発。16分停車。

浜坂から香住の間に名物「餘部鉄橋」がある。日本海に面した漁村の遙か上空のトンネルから出て、谷を越える巨大なガーダー橋(だよな?)が餘部鉄橋である。線路がただ遙か上空を越えているだけで、列車を防護するものはなにもない。昔、強風にあおられて列車が100m近く下の谷底へと落下したことがあったところだ。
夜は、ヘッドライトに橋だけが照らされて、周りは虚空の闇。運転台の後ろの窓から前方を眺めつつ、すこしぞっとした。
そして到着しました香住駅。香住は松葉がにと海水浴が名物(?)の漁業のまちである。駅前は…特にいってそれほどのものはない。駅前からまっすぐ延びる道路の脇に座ってぼうっとしてみた。すると交番へと帰ってくる駐在のバイク。しかし、私の存在には目もくれずに交番に入っていった。
また、別にかまわないけどさ。こんな田舎町で一人、夜の2:30にぼうっとしてる変な奴がいても一声ぐらいかけないのか? それとも私はあやしくなかったのかな? そうかそうか。
私の某先輩なんて、夜に明治通りを自転車で走っていただけで連続2回も職務質問されたそうだから(笑)。

このあとは2時間くらい仮眠。明日は4:33に福知山で下車するので本格的には寝られないのだ。
ではまた明日。