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空と渚の道〜房総ツーリング

自転車を電車に積み、木更津から久留里線で上総亀山まで行った後、山を越えて安房鴨川へ。
鴨川からはシーサイドラインを館山まで走りました。

最後の楽園、久留里線

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朝6:00頃出て13分発の新木場行きに乗り、そのまま新木場へ。京葉線で蘇我、内房線に乗り継いで木更津へ。蘇我→五井はすぐ、五井→木更津も大した距離ではないな。木更津で30分ほど時間をつぶしてから、キハ37/38 2連の久留里線に乗る。来るときはキハ30がついていた。キハ30は旧八高線型の、戸袋のない両開き扉。今時非常に珍しい。キハ37,38ともロングシートの両開き二扉車で、37は非冷房車、38はあとから冷房車改造されたらしい。
発車時刻になると、運転士がタブレットを持ってやる気なさそうにやってきた。タブレット交換するのか! 小湊鉄道もタブレット交換するが、千葉にはまたこんなところが残っているのだなあ。
木更津を出ると、房総横断道路に沿って草むした線路をのろのろと走っていく。30〜40km/hぐらいしか出さない。実に長閑なものだ。久留里ぐらいまではずっと稲作地帯をゆっくりと抜けていく。途中2回交換し、その度にタブレット交換もしていた。うーむ。なんかいいよね。

キハ30。以前八高線で走っていたものと同系列。木更津駅にて。

久留里線前景。草ぼうぼう。

千葉県でタブレット交換をやっているのは、久留里線と小湊鉄道のみ。

久留里駅。
久留里から終点の上総亀山までは多少の山間コースとなる。山の中を微妙に登っているようだ。とはいえ、房総半島は一番標高が近いところでも400m程度。どうということはない。

_ 終着駅の上総亀山は、小湊鉄道の上総中野とそっくりにできている。島式ホームと駅舎の配置も、駅舎から少しだけ坂を上って上の道路に出るという構造もそっくりである。写真を撮った後、自転車をセッティングしてスタート。


上総亀山駅にて。日射しが強い。

上総亀山駅外観。ここから出発。

名物国道410号

今回走る国道410号線というのは、房総半島の中心を南下していく国道なのだが、昔はなかなかの悪路で有名だった。今でも部分的には国道らしからぬところが多く、「ネタ国道」のひとつとして知られているのだ。
まず、入り口が分からないことで有名である。亀山のあたりで久留里線に沿って走っている立派な二車線国道、国道465号線の途中から突然分岐するのである。実はその数百メートル手前の角に、410号線が分岐する旨の案内板が出てはいるのだが、さすがに案内板から数百メートルいったところから右に分かれる細〜い道が国道だと気づく人はまずいないだろう。
まあ、私は事前に調べておいたので迷わずに済んだ。
坂を上っていくと、突然一車線の素堀りトンネルが。この中だと、セダンと自転車でもすれ違うのは辛そうだ。それを抜けた後も完全一車線の道路がしばらく続いた。走っていくと途中からは二車線になった。そして道路状態も良好になる。改良工事をした結果であろう。465号から410号に大型車が入るためのバイパスルートも作られているので、大型車はわざわざ私が通った道をくる必要はないわけだ。
それからずっと、非常にいい道が続く。路面の乱れもなくすーっと走れる。山間の田圃の間を縫って多少のアップダウンを繰り返していく。強い日射しからはどうやっても逃げられないのがちと辛いが、なんだかとても気分がいい。


右と左、どっちが国道でしょう? 答えは、どちらも国道。今回は右へ進みます。

こ、これ国道らしいよ(^^;

引き続き国道410号線。

広くなった410号。
被写体が風景以外ないからって自転車ばかり写すのもどうかとは思うが。

15kmほど走ったか、小さい峠を1,2個越えたあと「君鴨トンネル(君津市→鴨川市)」という新しいトンネルを抜け、2kmにわたってぐんぐん下ったところで鴨川市への分岐点に到着。分岐するのは長狭街道という県道である。本来鴨川市に抜けたい場合、この街道を使えばほとんどアップダウン無しにアクセスできるのだが、今回は見送った。「嶺岡中央林道」という林道で鴨川に抜けたいからである。林道に入る前に、交差点のコンビニでおにぎりと桃の天然水を買った。平らげてから林道との交差点へ。


峠越え後。台地の稲作地帯。

尾根筋の林道へ

_ 嶺岡中央林道は航空自衛隊の嶺岡駐屯地を中心に、房総半島の東西を岩井から鴨川まで貫く林道である。房総の中では最も高いレベルの山を越えていく道になっている。ちなみに、岩井から国道410との交差点までは40km/h制限。自衛隊車のためとはいえ、林道の中では異例の制限速度(速い)であろう。
さて、交差点からしばらくいったところで道は一車線になり、ぐんぐんと登りはじめる。路面も荒れ始め、多少走るのが辛くなってくる。まあ、この前まで走ってた信州や伊豆に比べればこんなもんは坂道じゃないけどね。


嶺岡中央林道(嶺岡基地側)

嶺岡中央林道(鴨川側) 左の国道と比べればかなりの急勾配。

しばらくしていったん丸山町に入る。ここがサミットなのだろう。ここから尾根伝いの嶺岡中央林道に入っていく。走りはじめてしばらくは、容赦ない登り道。林道だから、山を削って通すなどということはしないらしい(建設費がかからないように)。山の起伏に合わせてガンガン登る。疲れて停車しようとすると、大量の虫がたかってくる。蚊や虻などが羽音を立ててよってくるのである。で、結局それが嫌なのでさっさと登ってしまった。頂上には日本テレコムの電波塔などがあり、しばらく行くと左には今まで走ってきた内陸、右には太平洋が遠望できるようになってきた。山の稜線沿いなのでアップダウンはひたすら続くが、それほど辛いことはない。空に近い場所を走り抜けていく感触は、なんともいえず快い。


写真で分かるほど登ってるというのも林道ならでは。 止まると虫がたかってくるので走りながら撮りました。

尾根筋より絶景。

舗装林道だが、路面状態はそれほどよくない。たまに横切っている排水溝には特に注意。車のタイヤが通りがちなところに鉄板を渡してあるだけであとはただの溝なので、下り坂でスピードを出して突っ込んだらお陀仏である。下り坂では常に路面を確認しながらブレーキを握って、溝に間に合わなかったらフロントを上げて飛ばないといけない。とにかく注意である。一度急ブレーキで後輪がスリップしてしまった。
最後の数kmは鴨川市へずっと下っていく。実際は少し登りもあったかもしれないが、下りの慣性で通過できたのでよく覚えていない(^^;


南総の海へ。

南端を目指して

_ 海沿いの道に出てから、そのまま南へ突っ走る。松島という名が付いた場所では、伊豆のような奇勝が見られたが、そこを過ぎると砂浜に波が打ち寄せる平和な海になる。潮風と激しい太陽の下をひたすら走っていく。道はとてもよい。


鴨川オーシャンパークにて。

安房鴨川から千倉への海岸。

道の駅鴨川オーシャンパークで一休み。噴水の横をおみやげショップへ入ってアイスを買い、椅子に座って一休み。土産に綺麗な貝殻が並んでいる。見ていて楽しい。

_ さて、また焼け付く日射しの下へ。和田漁港の横を走り抜けて国道128号から分かれ、「房総フラワーライン」というシーサイドラインに入る。
防砂林に挟まれた、地平線まで続く直線道路。シーズンには道ばたに植えられたキンセンカなどが咲き乱れ、それはそれは綺麗なのだそうだ。


房総フラワーライン。嫌になるほど一直線。

北緯35度線最東端。

_ 途中のパン屋(よろず屋?)で一休み、ジュースと板チョコでブドウ糖を補給する。その後しばらく走ると千倉の漁港に出た。ここから野島崎までは防波堤を隔ててすぐに渚、という道をずっと走っていく。路面は悪くはないが、それほどよくもない程度。だいたい平坦である。
白浜町までは大して時間はかからず、そこから少し国道と分かれて海沿いへ。鴨川からここまで、よく「くじらのたれ」という宣伝を見かけた。「くじらのたれ」とは味を付けた干物ののことらしい。南房総の特産品で、本当においしい「くじらのたれ」はこのあたりの店にしかないそうな。…まぁ、買わなかったんだけど。

_ 白浜町役場を過ぎてからがちょっと長かったように感じたが、無事野島崎に到着。16:00であった。灯台の見学時間が16時で終わり!!! なので、急いで中へ走ると、受付のおばさん「まぁ、いいですから」と、閉める様子もない。あわてていたせいで財布を自転車に忘れたので入り口へ戻り、ついでにカメラも鞄から出した。
すると、灯台の職員のおじさんが窓から顔を出して「撮ってやろうか?」と言ってくれる。こんなところで記念撮影してて時間大丈夫かな、とか思いつつもご好意に甘えることにした。わざわざ降りて出てきたおじさんは「いやぁ、結局俺達も観光産業だからね」と笑いつつ、一枚撮ってくれた。
灯台の中は螺旋階段と、途中から梯子。荷物がなくてもかなり狭い。上りきったところには、170万カンデラのメタンハライドランプがあった。巨大なフレネルレンズがついている。あとで資料館で見た限りでは中のフィラメントはけっこう小さいように感じた。数cm程度のフィラメントが、海上の道標となるのだねぇ。
扉へ開けてデッキへ。強い風が、身体のまわりにまとわりつく空気を一気に吹き飛ばしていく。爽快。今まで走ってきた道では、時速30km以上出さないと身体のまわりの空気が拭えなかった。境膜層が厚い、とでもいうのかな。
疲れにまかせて、しばらく海をみながらぼーっとしていた。何も考えない、動かない…でもとても気持ちいい時間。


野島崎灯台にて。

メタンハライドランプ。

_ さて、ここからは西端の洲崎(すのさき)を通って館山へ帰るルートと、内陸部の小さな丘を通って館山へ向かうルートがある。どのみちしばらくは海岸線を西へ走らなければならない。
折しも時間は5時前。すさまじい夕陽が正面から照らしてきた。これはきつい。サングラスをしているのに視界はすべて橙色に染められ、標識も道案内の青い看板も何も見えない。すべて真っ黒に見える。…海辺を西日に向かってがむしゃらに走るなんて、青春だなぁおい(笑)
いったん止まって地図を見ると、洲崎まではトロピカルムードな道を延々と太陽に向かって走らなければならないらしい。この西陽には耐えられそうにない。 それに、今は5時過ぎ。今度昼間に行った方がよさそうである。
というわけで、館山へ北上ルートに切り替える。館山行きのバスが出ているので、バス停で道を確認。ここから館山へはバス停15個らしい。なーんだ、たった15個か。じゃあすぐだな。とか間違ったことを考えつつスタート。とても坂とは認識できない程度の低い丘を越えて、市街へ。バス停15個分は本当にあっという間だった。


到着。

_ 館山駅へ着いてから電車の時刻を確認。酒でも呑みながら帰らないと疲れてやってられん、ということで酒屋へ直行。梅酒の小瓶を一つ買ってきた。自転車を畳んで袋に入れて、あとは乗るだけ。115系8連の千葉行きに揺られながら、暗くなっていく車窓を眺めていた。もう少し体力があって早く館山に着いていたら、浜金谷まで行って東京湾フェリー(久里浜行き)に乗ることができたのにと、少し残念に思った。これも次回にまわす。今度三浦半島を旅行したら、東京湾フェリーで房総まで渡って洲崎リベンジをやることにしよう。
蘇我に着く頃にはだいぶ酔ってしまった。梅酒一瓶あけちゃったからなぁ。重い自転車を背負ってホームでふらふらしてる私はだいぶ危なかった。蘇我から京葉線で新木場、新木場から西武直通の有楽町線で帰宅。

今夏もめでたく、青春18きっぷを使い切った。

今回の走行コース。
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SHIMURA Harutoki <tt67136(あっと)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp>

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