雪解けの千曲川紀行〜飯山線

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時刻表

新秋津 発
5:42
武蔵野線
西国分寺 着
5:51
6:02
中央線
八王子 着
6:20
6:30
中央本線(115系6両)
松本 着
10:17
10:43
篠ノ井線(115系3両)
長野 着
12:07
12:16
飯山線(キハ110 2連)
戸狩野沢温泉 着
13:12
13:21
雪崩の恐れのため運休
16:05
飯山線(キハ110 単行)
越後川口 着
18:01
18:04
上越線(115系3両)
水上 着
19:41
19:48
上越線(115系4両)
高崎 着
20:43
20:51
ダイヤ乱れのため遅延
21:08
高崎線(115系11連)
赤羽 着
22:40

introduction 

地図だっちゃ

地図を見てほしい。長野から出て、新潟へ流れ込む千曲川(途中から信濃川)に沿って走る黄色実線のラインが、飯山線である。

千曲川はその名の通り、自らの作り出した広い谷を、雄大に蛇行しながら流れる。飯山線はその谷沿いをずっと走る。内陸の谷のため、積雪量は日本でも有数である。トンネルとスノーシェルター、千曲川と雪山が織りなす沿線の地形は、眺めていて飽きが来ない。

…ということで、今回は青春18きっぷが1枚残っているため、日帰りで

八王子→松本→長野→十日町→越後川口→越後湯沢→高崎→池袋

のコースを行くことにした。

実は飯山線以外にも、帰りの上越線の土合駅(一応無人)は「下り線のみ清水トンネルの中にある」という駅で、上り線から500段の階段を下り線まで降りてみたいと思ったのだが…

以下は読んでのお楽しみ。


富士見駅より。電線が邪魔だが、いい風景だ。


松本駅より。自動車が邪魔だが、いい風景だ。


おみむら。

姨捨でのスイッチバック(上から見た図)。
篠ノ井(長野方面)に行く列車は、赤矢印のように駅に止まり、一旦引き込み線に入ったあと下り坂の本線へと戻る。


上図の青矢印方向を見た写真。相当勾配がきついことが分かるだろう。

桑ノ原信号場での交換時スイッチバック。
我々の上り列車は1,2,3のように引き込み線に入って、平地で待機。4の下り列車は停車する必要がないので、スイッチバックを使わずに素通りする。やり過ごしたあと、上り列車は下り坂の本線に戻る。

まずは長野へ

長野へ出る一番早い方法は、当然新幹線。飯山線の新潟側から一番速く帰ってくる方法は、十日町から北越急行で越後湯沢→新幹線なのだが(これだと昼前に出て日没前には帰ってこられる)、これでは青春18きっぷが使えないし、だいいち青年らしくない。今回も各駅停車で頑張るしかない。

朝5時に家を出て、西武線の始発に乗る。中央線にのるためには、新宿からまわるより秋津→新秋津→西国分寺とまわった方が早いのである。早朝は異常に寒く、ホームで待つのが辛かった。

八王子から松本行きの各駅停車に乗る。普通、中央本線の各駅停車といえば高尾発・大月行きか甲府行きなのだが、早朝時間帯のみこのような長距離各駅停車が出ているのだ。松本行きの椅子は、とても暖かかった。

車掌は新宿車掌区で、このままずっと松本まで行くらしい。そして、折り返しの高尾行きで東京に戻ってくるそうだ。なかなかハードである。
ちょっと寝ぼけた声で車内放送 「3号車には、トイレのみついておりま〜す」
…「3号車にのみトイレがついております」だろうな。
その後も、車掌はたびたび降り口の右・左を間違え続けるなど、ボケをかました。

ま、それはともかく。大月からは甲府方面への通勤・通学客が乗ってきた。4人がけの席に一人で座っていたのだが、あとから来た3人連れは山梨県庁の職員らしく、行政のつらさを数十分にわたって延々と語り続けたのでこっちもなんだか疲れた。年度の変わり目ということもあり、いろいろ大変らしい。

大月以降の難所である山(貨物列車は未だにスイッチバックしている)をぬけて甲府盆地に入る。中央本線は、甲府盆地の縁をまわるようにしてゆっくり甲府へ降りてくるので、途中の勝沼(勝沼ぶどう郷駅)などでは甲府盆地を一望できて大変眺めがよい。

甲府盆地を過ぎると、釜無川の流域の小集落を縫うように走っていく。日が昇って暖かくなり、空は快晴。春の陽射しを浴びて周囲の美しい山と谷の集落を見ているだけで、心が和んでくる。春が来たな、と思った。

小淵沢から先は、雪がまだ融けずに積もっていた。
そういえばさっきから思っていたけど、この車両、止まってるときに「バキバキバキ…バキバキバキ……」って鳴るんだよね。どこか壊れかけてるのか?! ま、'60年代製だからねえ。

さて、しばらくすると貨物線が巨大な 松本駅に到着。駅アナウンスは異様に間延びしていて「まつもと〜〜〜〜」と女性の緩んだ声が響いていた。
乗換の間に駅弁「安曇野釜めし」を購入した。

スイッチバックと篠ノ井線

次に乗るのは篠ノ井線。松本までのフォッサマグナから離れ、峠を越えて長野へ向かう。
駅で電車に乗ろうとしていると、先頭にいたカップルが、降りてきた客に道を譲らないで押し合っている。他のドアを見てみると、他でも大体降りる人に道をあけずに我先に乗ろうとしている。非効率でイライラする。ここが新宿なら…ってこれは前回やったな(^^;

しばらくは雪解け水を集めて流れる犀川を左に見て駅弁を食べた。両岸は雪で白一色、向こうには穂高連峰の山々をのぞむ。いかにも信州らしい景色である。

そして右側を見ると…さっきのカップル。なんか向かい合わせの席で靴下を脱がしあったりしてべたべたくっついてるのしか見えない。あ゛ーっ、もうそっちは美ヶ原高原と霧ヶ峰が見えるんだってばぁ。

さてさて、暫くして山間部に入り、峠の下を「冠着(かむりき)トンネル」で越える。ここら辺は聖高原。村の名前は「麻績村(おみむら)」というらしい。まゆ子? ははは、誰のことだか(苦笑)

トンネルを越えると、長野市のある「善光寺平」へ向かって急速に下っていく。途中の姨捨駅は有名な姨捨伝説の舞台なのだが、全国でももう数少ないスイッチバックの駅として知られている。
この辺りは勾配が厳しすぎて、本線上で電車が止まると危険なので(自動車を運転できる人は、急坂で安全に停止・発車する難しさ、分かるよね)、一旦図のような平地(斜めにかいてある引き込み線)に入って電車を駅に止め、それからバックして坂道へ戻るのだ。

進行方向を変えている間、標高の高い姨捨の駅からは善光寺平の絶景が見えるはず。
そう思って右を見ると、

(♂)「ほおら、姨捨山だってさぁ☆ 捨てちゃうぞぉっ♪」
(といって抱き上げる)
(♀)「きゃん★やだもぉ、何すんのよいきなり(^o^)」
頼むからどっか逝け、阿呆カップル。

結局あんまり風景を楽しめないうちに、バックし始めてしまった。体が予期せぬ後方へ動かされるのは、頭で分かっていても変な感じがする。

スイッチバックも終わり長野へ一直線…と思ったら、すぐにまた引き込み線に入ってしまった。そしてまたバックを始める。調べてみると、ここは桑ノ原信号場。図のようなシステムで交換をすることができるようになっている。快速みすず(天竜峡行)と交換であった。スイッチバック2連続はなかなかいい経験になった。
※実は、姨捨駅のひとつ前の羽尾信号場でもスイッチバックができるようになっている。

いよいよ飯山線である(つづく)。