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目次
冬枯れの保津峡
三千院〜伝説の峠へ
竹の中の静かな時間

写経に願いを込めて

2日目その1。地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
2日目その1。地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
朝起きて御飯。ユースにありがちな、いまいちなバイキング…っていうかソーセージと炒り卵とキャべツぐらいしかないし。
自転車にまたがり、今日は大原に向かう。通勤時間帯なので、西大路も北大路も混んでいる。
大文字
大文字
調子よく走って川沿いの国道へ。大原方面は観光バスや路線バスで混むかと思いきや、全然そんなことはない。ただ、日本海へ抜ける幹線道路ゆえ、大型トラックやダンプがぶっ飛ばしているのが怖い。至近を抜かれるたび、「ひぃ〜」とか言いながら登っていく。大原も山里だが、この程度の坂など昨日登ったものに比べれば赤子も同然なのであって、まあさくさくと走っていったわけである。
山里をめざす。
山里をめざす。
のどかな集落。
のどかな集落。
大原から三千院は細道を1kmほど。雰囲気のいい狭路だが人は少ない。三千院に入り、ゆっくりと庭を眺めて過ごした。ここ数日の雪がとけずにうっすらと積もっていて美しい。本堂はさすがに寒かった。




外に出て、境内を歩く。奥の院で写経ができるので、上がらせてもらう。
閑静なお堂で静かに祈りを込めつつ、経の一節を写す。  心が空っぽになって出てきたところでおみくじを引いてみた。すると

「願い事:かなわず」

えぇ〜! そっか、今の写経に込めた願いは無駄だったか。ただ幸せでありたい、と思っただけなのに。はかないものですな。

「新しく事をはじめると失敗する」

…4月から博士過程だから何かやろうと思ってたんだけどダメか〜。
「病:十中八九死ぬ」
「待ち人:来らず」
「縁談:避けよ」
…。
ここまで言われるといっそすがすがしいな。 おみくじを結び、さすがに少しへこんで三千院をあとにした。

さらに奥には来迎院という寺院があるらしい。行ってみよう。

途中に来迎院の車庫が。車が3, 4台あって1台は黒のセルシオ。これは住職のだろうか。儲かるもんね、宗教。さっきの三千院の売店の車庫だって止まってた車は全部ベンツだったし。まあ金剛峯寺の偉い人とかになると毎晩ロールスロイスでミナミに行っては100万単位の金を使って淫行に走っているらしいですからな(って高野山高校に通う若い僧侶が言ってた)。とか書いたら真言宗から訴えられたりして。あはは。(ちなみに大原の寺院は天台宗が多い)
…おっと、つい下らない雑念に走ってしまった。さっき心を清めたばかりなのに。いけないいけない。

来迎院の門は森の中にあり、小さくて風格がある。宿坊よりは大きいぐらいかな。中に入ると参拝客は誰もおらず、雪で薄化粧した庭の中に静かに本堂があった。中に入り、凛とした冷気の中、座して本尊と対峙する。思考は止まり、ただ目の前の仏像を見つめ続けて数分。ここは山の中、鳥の声しか聞こえない。そう。こういう時間を過ごしに京都へ来たのだ。
来迎院
来迎院
本堂
本堂
鐘楼
鐘楼
靜かな庭
靜かな庭
受付に一礼して山を下り、自転車に乗って再び市街へ。

伝説の峠へ

2日目その2。地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
2日目その2。地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
暗峠断面図。
暗峠断面図。
今日は午後から生駒山にある、伝説的な斜度をもつ峠、「暗峠(くらがりとうげ)」に挑む予定なのだ。

多少地理感覚のある人間なら、「なぜ滋賀県境に近い大原から、大阪と奈良の間の生駒に行くのか」と訝しむことだろう。全くおっしゃる通り、私も愚行だと思った。本当は明日帰り際にやろうかと思っていたのだ。が、明日は昼から雨らしい。予定を2日延ばすといろいろ問題も出てきそうなので、不本意ながらも天気のいい今日にしたわけである。

さて、ここから奈良へ楽に行こうと思うと、京都市営地下鉄「国際会館」から乗って、近鉄に乗りかえるのが早い。 駅の手前にラーメン屋に入ったが、このとき鼻の調子が悪かったのがいけなかった。店内が明らかに蒸れたように臭い。入る前に気づけばよかった。とんこつか何かの動物系の出汁の臭いで、うまくとればそんなに臭わないはずだけどなあ。環七にも同じ臭いの店があって、前を通るのが嫌だった。味は塩味が強く、多少例の臭いがする程度。店はにぎわっていた。
国際会館駅
国際会館駅
枚岡駅。急坂に作られた駅なので狭い。
枚岡駅。急坂に作られた駅なので狭い。
 地下鉄の駅入ロは住宅街の中にぽつんとあり、まるでちょっとした地下道の入りロのようだった(まあ実際そうなんだけど)。烏丸線から近鉄を乗りついで西大寺、東大阪線でー旦生駒を大阪側にトンネルで越えてしまい、枚岡(ひらおか)という駅まで行った。この駅自体大阪から100mぐらい高い急坂の途中にあり、展望が素晴らしい。ホームから改札を抜けるとすぐに道路の小駅で、自転車を組み立てスタート。
今日行く暗峠は、奈良から大阪へ行く旧街道を舗装した「国道308号線」である。人馬の往き来する急峻な道をそのまま舗装してしまったがゆえに、道がスゴいことになったのだ。しかも国道。
まずこの道に出るために街の住宅地を行くのだが、そもそもこの時点でほとんどの道路が、ギアを2速以下まで落とさないと走れない。斜道8〜15%ぐらいかな。山腹に住宅地を作るとこうなるのか。


これはどうにか登れる勾配。
これはどうにか登れる勾配。
横の塀を見ると斜度が分かる。
横の塀を見ると斜度が分かる。
 途中通行規制されていたのを回避し、迷いながらも国道へ戻る。あはは。噂通りスゴい。1速で発進がギリギリ。すれ違うおばさん連中が

「えー?これ峠まで行くのん?」
「そもそもこの坂って自転車で登れるものなのか…」
「兄ちゃん若いな〜」
「うはぁ」

などと声を発する。道ばたの塀を見るだけでも、相当酷い坂なのが分かる。
さて、だんだん勾配がきつくなってきた。止まると、自転車が谷へとずり落ちていく。道が、あのよく坂道の駐車場にあるような、丸い溝の入った特殊舗装なので(国道なのにねー)、そこにスタンドを引っかけて止め、どうにか上着とセーターを脱いだ。
さて行くか、で発進しようとすると…あれ、動かない。足に渾進の力を入れても動かない。しばらく悩んで、サドルを下げ、ハンドルに覆いかぶさるようにして思いっ切り引っ張りながら立ちこぎでスタート。おっ動いたっ。まあ動いてもこぎ続けるのは相当辛い。
これは私には登れない。
これは私には登れない。
振り返ると絶景が。ま、崖を登ってるわけだし。
振り返ると絶景が。ま、崖を登ってるわけだし。
ステム(ハンドル下のパイプ)がバキバキ音をたてている。マズいなあ。前から交換をすすめられていたけど。折れると怪我するだろうなあ。つーか折れたら私は「1台の自転車のフォークとシートポストとステムを折った人」になっちゃう。あと折ってないのはフレームとハンドルだけか。
さて、心拍も大変なことになってまいりました。っていうか無理。進まない。道幅を使ってジグザグ走行作戦もあるが、道幅が挟くてできない。

止まって休み、スタート…できません。

はい、こぎ出そうにも自転車が動きません。
どう見ても無理です。ごめんなちゃい。

もういいや、諦めて押そうぜベイベー。

というわけで。
うはー
うはー
うわー
うわー
…
…なんですかこれは。
…なんですかこれは。
そのあとはえっちらおっちらと押し上げる。いや、これはきついね。レガシィが変な音を立てながら一速で登っていく。対向車とすれ違おうとして止まってずるずる後退してるし。大変だなぁ。車が行ってしまうと物音は川の音だけになる。1km弱歩いたところでそろそろ走れる勾配になってきた。15%ぐらいならどうにか登れる。苦笑しながら登山客を追い抜く。その後、有名な分かれ道が現れた。
この左へ行くのが「国道」。
この左へ行くのが「国道」。
これは登れる。
これは登れる。
ここを過ぎると峠はすぐそこであった。今までと比べて勾配は大したことがないので乗車して登っていく。途中から石畳になり、歴史を感じさせるお地蔵様があり、峠の茶屋が見えて終了。ふう。挫折してからは別に頑張って登ったわけじゃないから大して疲れてないぜ。
暗峠。幅員1.3mとかいうふざけた標識が。
暗峠。幅員1.3mとかいうふざけた標識が。
旧来の街道とはいえ石畳とは…
旧来の街道とはいえ石畳とは…
峠の石碑。
峠の石碑。
信楽生駒スカイライン。
信楽生駒スカイライン。
追いついてきた登山客の老爺二人組にシャッターを押してもらった。峠の上には立派な自動車専用道路の「信楽生駒スカイライン」が通っている。ガードレールまで登ってみると、奈良側に展望が開けている。
「あれが若草山や」と茶屋のおばさん。一通り感心した後、自転車にまたがって奈良側へ降りる。奈良側の勾配は、大阪ほど酷くはない。とはいえ勾配のきつい坂を下ってひっくり返ったりした日には話にならないですな。椅子は下げたまま、サドルの後ろにベルトのバックルが来るくらいまで尻を下げ、重心を山側に偏らせる。ブレーキはふだん3本指なのだが、今日ばかりは真面目に4本指で。ま、下りも2,3kmだったと思う。一瞬で下りきって休憩。しかし、まだ心臓が変な感じだ。登りはちょっと許容できる心拍数を越えたかな。
さて、帰る前に国道沿いの洋菓子屋、ヴィラージュ川端に寄っていこう。
ヴィラージュ川端到着。
ヴィラージュ川端到着。
瀟洒な木造の、ガラス張りの建物に入ると手の込んだケーキがずらり。ケーキはMaxim de Parisと勝負できるほど高いが、なんか採算が取れないほどに材料とかいろいろなことに気を遣っているらしいのでまぁそれもよかろう。いちごの森とモンブラン、アールグレイを注文する。アールグレイが砂時計とティーコゼーつきで出てきた。ティーコゼーってのは紅茶をポットで蒸らしている間、ティーポットが冷めないように覆うカバーですよ皆さん知ってますか?(笑) 砂時計が落ちてから紅茶を丁寧にカップへ注ぐ。…と、漂う香りがたまらなくふわっとやさしい。アールグレイというとけっこうきつめの香りを予期していたのだけど、これは嬉しい誤算だ。


ケーキは、またこれが最高である。いちごの森は、すっと溶けるようなパウダーシュガーに包まれた上品なコクのあるクリーム、洋酒を使ったスポンジ生地も気が行き届いていて文句なし。モンブランも栗のクリームだけでなく、食べ進めて行くにつれて甘く煮たマロンとカスタードクリーム、チョコレートクリームが順に出てくる。外はナッツ入りのブリオッシュ生地にハーブが添えてある。
…どう、食べたくなりましたかな? でも、食べる前には峠を歩いてカロリーを消費しないとダメだぞ。ね。

満たされたあとは、再び近鉄で萩の台→生駒→西大寺→京都、JR山陰線で太秦まで行ってユースへ帰り、さらに鱈ちりで一杯やりながらご飯を三杯食べた。
うーむ。トータルカロリーはだいぶ凄いことに。運動した意味なし!

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SHIMURA Harutoki <tt67136(あっと)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp>

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