沖縄本島一周冒険ツーリング
7/14 豪雨の中を100km走ってみよう!
地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
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以前院試のあと、沖縄を走ってからもう4年が経った。当時心残りだったことの1つが、本島一周ができなかったことである。ふとそれを思い出したので、7月の連休に時間をとって北部一周だけやってくることにした。前回は9月で、だいぶ台風にたたられたが今回は7月。きっと大丈夫だろう、と思っていたのだ。予約した当時は。
しかし当日の少し前に台風4号が発生し、沖縄目指して発達しながら進みはじめた。気象予報士を目指す後輩によれば、「梅雨時は太平洋高気圧がまだ強まらないから、その縁をまわって台風が沖縄を通る」とかなんとか。前日になると台風の直撃を喰らって飛行機も全便欠航し、これはもうだめかと思われた。
が、日付が変わり、当日になって航空会社のサイトを見ると、どうやら運航しそうではないか。用意をして朝3時に起き、4:30発の高速バスで羽田を目指した。
台風が沖縄を過ぎたから沖縄便は飛ぶわけだが、その台風は九州に上陸しようとしていた。おかげで福岡便と大分便などのキャンセルでカウンタ一に長蛇の列ができていた。スカイマークのカウンターはだいぶ時間がかかった上に、自転車は追加で1000円とられた。まあ、安いものを使ったんだから仕方ないか…。
搭乗がすぐ始まるかと思いきや、全然始まらない。台風を回避するコースを組んでいたら4, 50分遅れてしまったとか。まあ、そのおかげで飛行機は全然揺れないまま那覇にたどりついた。着陸してから到着ロビーまでバスに乗るよう言われ、おじいちゃんの運転する琉球バスに乗りこんだ。が、スタート時にガクガクしてエンスト。おーい大丈夫かじーさん。マニュアル車ではお約束だが、大型二種持ってる人のやることじゃないな。(笑
自転車を展開して11:30。予定では10時前には出発できていたはずだった。
空港から走り始めると、街路樹が数本、根こそぎ倒れていた。昨日の台風のつめ跡だ。他にも飛ばされた葉や枝が雨で湿って、水たまりも至るところにあり、路肩の状態は悪い。
空港から数km, 那覇市街で突如スコールが。ゴアテックスの雨具に着替えているうちに小康状態になったのでスタートしたが、すぐに雨は強くなった。途中、歩道から出るときに前輪をとられて転倒しそうになったり、坂道のブレーキングで後輪がロックして焦ったり。雨中走行は十分な注意が必要だ。
今日は北上して名護へ向かい、さらにその30km先の村、国頭(くにがみ)村を目指している。途中20分おきに抜いていくバスは大体誰も乗っていない。20分おきに、70kmも走る長距離路線バスを走らせて、それに人が乗っていないというのはバス会社にはだいぶ痛かろうね。
雨は強いが自転車は淡々と浦添、宜野湾、北谷と進んでいく。ここでブルーシールのアイス食べたな、A&Wがあったな、自爆氏と焼き肉やフライドチキン食べたな、など、どうも食い物にまつわる思い出だけが脳裏をかけめぐる。どうやら俺は腹が減っているらしい。ちなみに自爆氏はもう転勤で沖縄を去ってしまったので、今日はあてにできないのだ。残念。
そんなわけで北谷のタコス屋へ。好物のタコライスを頼む。横ではアメリカ海兵隊の青年達が昼からバドワイザーをあおっては「shit!」とか言ってた。
食ベながら外を見ると雨があり得ない強さになっている。100m向こうが霞むぐらいの豪雨だ。ネットの向こうで先輩が言うことには、「アメダスでみると本島が東西に貫く槍のような真っ赤な雲に覆われていて、その雲が西から東へ動いている」とのこと。窓から外を見て私も「Oh, shit!」とかお下品なことのひとつも言いたくなる。
雨が収まったあたりで再び雨具を着て出発である。繁華街の北谷も、今日は閑散としている。美しいはずのビーチは、川の泥流で茶色く染まっている。
4年前に残波岬へ行ったときのことを息い出しながら58号線を北上した。嘉手納基地沿いの直線道路が長くて往生したこととか、読谷への登りがきつかったこととか。
しかし…あれ?なんかあっという間に通過していくぞ。途中の登りも大したことないなあ。雨の中なのに。不思議な気分だ。この数年の間に、いつの間にか自分が強くなったのだろう。
嘉手納で雨はさらにひどくなり、目をあけられなくなった。汗を含んだ雨水が顔をしたたると、それが目に入って痛い。ゴアのフードを出してその上にヘルメットをかぶり、サングラスもできるだけ奥にかける。これでOK。
…OKとか言ってる場合じゃないよね私。なんでこんな雨の中で当然のようにペダルをがしがし踏んでるんだか。某先輩は「理性的な人は雨中走行なんかしない」と言ってたなあ。そうかもしれないが。そんな理性などとうの昔に八ヶ岳に捨ててきたわ!! ふはは!!
しかし、今日はそんな私を試すかのような更なる事態が待ち受けていたのだった! 嘉手納ロータリーがだいぶ渋滞しているのを不思議に思って先に行ってみると、
橋のところで川が氾濫して、道の上を濁流が流れていた。
BD-1で入ってみるとすごい水の抵抗とともに「ジョッパアア〜」という音をたててすさまじいしぶきが上がる。私のテンションも上がってまいりました。 頑張って渡ったあとの丘への登りも、道全体が川状態。谷を目がけて濁流が降ってくるのをかきわけて登坂する。あはは楽しい〜
そうこうするうちに道は読谷村を抜けて恩納のリゾート地に入った。ここから名護までのだいぶ長い海岸線の途中に、たくさんの巨大なリゾートホテルが建ち並ぶ。今日泳げずに悶々としている皆にはお気の毒だが。
恩納には「万座毛(まんざもう)」という有名な場所がある。国道から少し登って行ってみた。異様な形の海食崖(崖が海によって浸食されたものと、その周辺で風に耐えて曲がりながら育った植物群落が、ここの厳しい自然を実感させる。
名護まではひたすら淡々と25km/hで走り続けた。名護ではコンビニで油ぎとぎとのドーナツを補給し、残りの30km弱に備えた。時に18時過ぎ。今日の日没が19:23だから、ちょうど間に合うくらいか?
と、また雨足が強まってきた。雨宿りしてゴアを着て、再び海沿いを無心で走る。大シケの海は、それでも明るい青色をたたえ、雲の向こうにかすかに見える太陽が沈んでいった。
いかん、あと5kmのところで日が暮れてしまった。今日の宿は国頭村辺土名(へんとな)の民宿、いずみ屋だ。集落はそんなに栄えちゃいないが、いろいろな商店や飲食店が開いている。街として十分に機能はしているようだ。
民宿のおばさんがわざわざ傘を持って迎えに出てきてくれた。そして、近場のスナック“M”に連れていってくれた。ここはおばさん達の溜まり場で、みんなオリオンビールをぐいぐい飲んでいた。昼は喫茶店で、ケーキ屋も兼ねているらしい。夜は暗くしてレーザーカラオケの電源を入れればスナックに早変わり、と。なんでもありだ。私はオリオンビールと麸チャンプルーとごはん。ボリュームも味も満足、これで計1100円は安い。豆腐チャンプルーは島豆腐が今日はないとかで、注文できなかった。いつもここで溜まってるらしきおばちゃん曰く、「ここのトイレの紙いつも私が換えてんのよ。もうどーなってんのかしら」 そりゃここのトイレを使う客の大半があんただからじゃないのかね。
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