8/20 島一周サイクリング
屋久島全図とGPSログ。色が速度を表す。 |
GPSログ(縦方向)。ひたすら坂である。 |
詳細データ(カシミール3D用POT形式)
朝、飯を食ったあと自転車を借りにいったら、既に女の子は8:00頃に出発したあとだった。
そしてマウンテンバイクを借りようとしている女の子が1人増えていた。どうやら向こうの手違いで私の予約をメモし忘れていたらしい。あらあら。残念ながら彼女には予定を明日に延ばしてもらい、予定通りの面々で8:40頃出発。
今日の走行者2 |
今日の走行者3。40分先行。 |
そしてサポートカー(笑) |
大半のバスの終点である栗生(くりお)まではゆるやかな高低のあるシーサイドライン。7kmぐらいまで来て写真を撮ろうとした…ら…!! あ。デジカメ忘れたー! Yukikaze氏が親切にもユースに取りに帰ってくれた。彼には昼飯一回分の借りができた。そんなことでばたばたしているうちに先行していたlnavvlc氏を追いかける。慣れないマウンテンバイクで30km/hを頑張って出す。さっきユースで六角レンチを借りて、シートポストとブレーキワイヤーは調整してきたのだが、サドルが上を向きすぎている。なんというか…このままずっと乗ってたら子供ができなくなっちゃいそうだ。っていうか痛いぞ。ナニが。
5kmぐらい走った栗生でlnavvlc氏に追いつき、登坂に入る。こんなことを言っては悪いが、相方がゆっくり登ってくれるとこっちは非常に助かる。ギアーをローに落としてなんとなくくるくる回しながらついていく。坂はそれなりにきついが、有酸素運動にはならん。まぁ、普段登坂しない人にはきついだろう。今日は快晴だ。運がいい、というべきか生憎、というべきか。熱中症にだけは気をつけないと。
4kmほど行ったところがバスの終点、大川(おおこ)の滝だ。ここは屋久島最大の滝だそうである。Yukikaze氏を待つついでに自転車を停めて見学に行く。道沿いの沢は、沢蟹だらけだ。横穴、石の下、どこにでも赤い沢蟹がいっぱいいる。近づいていくとみんな律儀に隠れるので面白い。見えてるって。そんなに赤いんだから。
滝は見事だった。危険を冒して滝壺に寄らないと全景をファインダーに収めることすらできない。私は遠くから眺めていた。
滝の近くのわき水で喉を潤しているとYukikaze氏がやってきた。
合流して出発。さあ、ここから道はぐんぐんと標高を上げていく。100m, 200m, 300m…美しい海岸線はどんどん眼下に遠ざかっていき、その代わりに展望が開けていく。今日は晴れているので、海の向こうの沖永良部島がくっきり見える。山も頂上の方まで見える。屋久島に来てから今日まで山の上が見えたこと自体がなかった。いつも雲に閉ざされていて、縄文杉に行ったときは谷の向こうすら見えなかった。今日の晴れは貴重だ。
…あらら。景色を見ながら登っているうちに先行しすぎてしまった。lnavvlc氏の所まで戻り、またいっしょに登る。ずっと二車線の非常によく整備された道路だったが、だいたい急な勾配が一段落したあたりで一車線の林道区間に入った。「西部林道」だ。
林道になって直射日光は途切れ、明るい亜熱帯林に入る。縄文杉の森とは雰囲気が全然違う。走るとタイヤが小枝をぽきぽきと踏んでいく音がする。ふと気づくと鹿や猿がこちらを見ている。そんなことが3,4回あった。私は噂で
「西部林道を走ると猿が追ってくる。車なら突っ走って振り切れるが登坂中の自転車では無理かも知れない」
などとおどされていたし、昨日も車に猿がとりついているのを見てしまったので、正直猿をどうやって威嚇してやろうかと思ってたんだが。石でも投げればいいのか。「キシャー!」とか叫ぶのか?
鹿。 |
だが、そんな心配をするまでもなかった。適当にアップダウンを繰り返していくうちに「永田 5km」の青看板が(ほんとはGPS持ってるから自分の位置は把握してるけど)。ここでちょっと道を外れ、沖永良部島を望む「永田岬灯台」を見ていくことにしよう。
標高110mの交差点から分かれた道は鬼のように下り、たちまち30m(!)下って標高80mの灯台に着いた。ここは見学できないが、各地で必ず灯台を回ることにしている私には外せないスポットだ。車で来ている観光客が数人いて、挨拶される。
「あら。自転車で一周しているの? 大変ねぇ」
と、心の底から同情するような目で見ないで下さい。僕たちかわいそうな人じゃありません。ありませんよ?
灯台の下からは今まで走ってきた海岸線、これから走る海岸線を一望できる。海は台風の影響で多少時化ているようだが、ここから見た感じでは平和そうだ。あとで永田の集落に行ったら泳いでみようか。今日は最初からそのつもりで水着着てきたし。
灯台からの登り返しはきつい。しかもこのレンタサイクル、フロントディレーラーの調子が悪くて、うまくギアが切り替わってくれない。トップギアで下ってきたあとローに落ちないので仕方なく、トップギアではぁはぁ言いながら登る。バカみたい(笑) 途中にイタチがいた、と思って写真を撮ったが、あとでよく見たらやせた猫だった。こんな林道のどこに棲んでいるんだろう。
さて、今さっき稼いだ位置エネルギーを運動エネルギーにしなければ。西部林道に戻り、連続する高速コーナーを4,50km/hでぶっ飛ばしながら永田の集落へと降りた。そこ、峠下りの動画とか危険なものを録るのはやめたほうがいいぞ。>lnavvlc氏
そろそろYukikaze氏の原付の燃料がやばそうだ。それもそのはず、我々につきあって40km近く8〜20km/hの低速で延々と走ってきたのである。燃費だっていいわけないですな。というわけで、数十kmぶりのガソリンスタンドで(というか交差点もさっきの灯台への分かれ道まで数十kmなかったわけだなぁ)給油した。自転車の二人もジュースで"給油"。コーラが胃にしみわたる。ガソリンスタンドには水陸両用の自転車があった。初めて見たがすごく格好いい。中にたまった水が悪くなってバッタが死んでるけど(^^ 全然乗ってないのかな。
さて。では泳ぐか。永田のいなか浜は日本一のウミガメ産卵地だそうだ。砂は火山岩質で、大きめの塩の結晶のような肌理(きめ)の粗いものだ。それもそのはず、この島にはもともと花崗岩を中心とする火山岩しか存在しないし、石が河口まで延々と長い距離をかけて砕かれていく過程があり得ない。短い距離で適当に岩が砕かれた砂だからこうなるのだろう。砂をよく観察すると、うす茶色透明で少し角張った鉱物と、黒曜石が薄く剥離したような黒い鉱物が見える。私はそれ以上のことはあんまり分からなかったけど。
海が平和そうだ、とかさっき思ったが嘘八百だ。波は2〜5mぐらいあって、渚で波に向かっていったらいきなり体が横に二回転したからね!(ぉぃ あとで聞いた話だが、ユースにきていたファミリーは昨日ここでデジカメとビデオカメラと子供(!)を流されかけて、必死で子供だけはさらわれずに済んだらしい。つーか、昨日は船が欠航するほど時化てたんだからそれは当たり前だが。
まぁそんなわけで男が三人、誰もいない波打ち際で高波と戯れるというか戦うという、お見苦しいビジュアルを30分ほど展開したのだが、まぁいい加減疲れたので次の目的地、宮野浦をめざすことにする。宮野浦まで行けば冷房の効いたショッピングセンターも食堂もある。今のペースで行けば14時過ぎには着くだろう。一番暑い時間になる前に最後の坂をクリアしてしまおう。
最後の坂といったのは、永田の集落から宮野浦までのいくつかの集落を結ぶ道が、これまたアップダウンの激しい道だからなのだ。日本どこでもある地形なのだが、集落が港に面していてその間には山があるため、道は集落ごとに山から下り、また次の集落へと登る。高低差の図(参照)を見て頂ければ分かると思うが、吉田、一湊(いっそう)、志戸子(しとこ)と過ぎるたびに200m程度の登り返しがある。一湊に下ってきたあと登り返す手前でいったん動悸が激しくなったときはちょっと危ないかと思ったが、その後ぼちぼち登っていたら熱中症のような症状もなくなったので続行。
そうやって上り下りを繰り返したあげく、見慣れた風景の市街へと降りてきた。宮野浦だ。一安心。ショッピングセンターで買ったメロン味の乳酸菌飲料が凄く美味しかった。
たらたらと走っていくと、到着初日に餃子を食べた「かぼちゃ家」にユースのマウンテンバイクが止まっているのを発見。先行にやっと追いついた。たった40分差だから、私は2,3時間で(つまり西部林道の途中で)追いつくのではないかと思っていたのだが、結局ここまでかかったか。…って滝やら灯台やら海やら行ってるもんな。すぐに追いつくはずないよな。
やっと追いついたぜ〜 |
声をかけるついでに飯を食っていこうかと思ったが、二回も同じ店で食べることもないかな、と通過。こっちが先に行ってどこかでご飯を食べていればまた追いつかれるだろう。
途中の集落でキモいドラえもんを発見。
っていうか足ながっ。胴の形すごっ。ひとしきり爆笑して記念撮影した。実は初日に、来る途中のバスの中からチェック済だったのだが。
たぶんセメントか何かで原形を作ったのに色を塗ったんだろうねぇ。どっかに八頭身のドラえもん小便小僧があるって噂を聞いたけど、ドラえもんは等身を崩すと凄いなぁ。
小瀬田のコンビニでパンと桃の天然水を購入。今年東京では桃の天然水を見てない気がするな、とか言っていたら彼女に追いつかれた。この炎天下を40km走ってきたのに全然焼けてないなぁ。日焼け止めを塗っても赤くなりそうな日射しと照り返しなのに。北陸美人の白さは段違いなのですか?
さて、あとは連続する丘を越えながら数kmごとの集落を消化していく"だけ"だ。来るときはバスの車窓を見ながら「この坂はやばいんじゃないのか」と逃げ腰になっていたlnavvlc氏が今は「西部さえクリアすればもうあとは楽だろう」と言っている。よしよし。それでいい。…いいのかな。
さて。残り30kmぐらいかな。四人くっついたりばらけたりしながら、たらたらと走っていく。30分500円のインターネットブース(っていうかコンテナ?)があった。この島はまだINS64が一番速いのかな? ユースにメルコのISDN AirStationがあって懐かしかったが。そう。ユースは実はHotSpotなんですよね。とうとうつなげなかったけれども。
まぁ、そんな感じで島のIT事情に思いをはせつつ走っていると、魚のすり身を売っている店に「パソコソ」の大きな文字が! パソコソ! パソコソ!(しつこい
類似種 |
いや、よく見ると四文字目と二文字目は微妙にフォントが違うから本当は「パソコン」になってるのか…いや、パソコソだなぁ。カッコイイ!!
ついでにスカパー!も契約できるぞ。もちろん魚のすり身も買える(笑)
アホなことを言っているうちに残り20kmを切った。8時から10時間で借りているので、18時までに返さなければならない。105kmを9時間とは…タイムトライアルだったら大変だな(笑) GPSを見ているとちょうど17:55頃に着きそうだ。しかしユースのある平内の手前までけっこう登っていたのだなあ。緩くて長い坂が続く。
ユース到着は17:57。時間ぴったりだった。みんなで記念撮影、しばらくテンションが高いまま屋外で喋っていた。
完走お疲れ様〜 |
風呂に入って夕ご飯。ビールが美味い。美味すぎる。
そのあと今日/昨日サイクリングしたメンバーで焼酎を飲んだり、みんなでlnavvlc氏のバイオリンを聞いたり、駐車場で夜空の天の川を見上げたりした。数分ごとに流れる星を眺めながら2時間ぐらい喋ったりした。ユースに来る人それぞれが別の生活を持っていて、様々な動機でこの島にやってきてここで星をみてる。当たり前のことだけど、こういうのも悪くない。
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