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目次
どうやっていこう
秘境中津峡
雨の中津川林道
野辺山での観測
パラボラに登ってみよう

"電波"系な日々。


言わずと知れた45m電波望遠鏡。

ユースの朝

あのあと昨日のサイクリングについて、ユースホステルのペアレント(支配人みたいな人)は、「無謀だねぇ」と苦笑。「でも、君みたいな人、よく来ようとするんですよ。秩父のユースホステルから出発するんだけど、無理しても結局たどり着けない人も多いんだよねぇ。」ということだそうな。やはりたどり着けない人もいるのか。同じことを考えて同じ失敗をする人がけっこういるというのを聞いてこちらも苦笑。「こっちはそういう事情なんて全部承知してるから、予約するときに相談してくださいね。ツーリング時間の目安ぐらいは教えてあげられるから」とペアレントは言っていた。


ユースで知り合った人達と。左端がペアレント。

さてさて、朝食前から自転車のパンク修理をしないといけないということで、一人リムからタイヤを外そうと苦闘する。以前もやったことはあるのだが、なかなか自転車屋のようにはうまくいかず、結局何時間も苦労した。ユースホステルのヘルパーの人が親切にも手伝ってくれて、他に旅行に来ていた学習院の事務のお姉さんと話しつつ、頑張って外した。結局修理・整備が終わったのは10時半頃であった。
朝食はパンと紅茶と、目玉焼きと野菜だったかな。大したものではないが、わざわざ外のコンビニまで出ていくよりはマシである。他の旅人と、旅行話で盛り上がった。去年の私のように、鳴子温泉で降り込められた人がいた。同じ災難に遭っている人がけっこういて微笑。

ユースで記念写真を撮ったりメールアドレスを交換したりしたあと、いざ今回の本当の目的地、国立天文台野辺山電波観測所へ向けて出発した。だが、500mほど坂を上ったところで再びパンク。あーあ。たぶん、タイヤの中にまだパンクの原因になるものが残っていたか、交換チューブのどこかが傷んでいたかだろう。天文台までは6kmある。まあ、いいよね。昼間の山道を6km歩くなんてそんな、造作もありませんよ((-.-;)y-゜゜。

昨日通るはずだった国道141号。

JR最高地点。

野辺山原らしい風景。
夜は漆黒の闇。
で、野辺山峠へ。勾配が緩すぎて実際どこが峠だったか全然分からないが、太い国道の歩道を歩いているうちに平地になった。ドライブインが現れ、その横に「JR最高地点」の碑があった。花畑が揺れていた。そこから野辺山原周辺に特有な雰囲気の高原野菜畑を抜けていくと、なんとなんと、昨日「JR最高地点 200m先右」を見たところに出た。結局「200m先を右に曲がって、高原野菜畑の中をずーーっと右」の意味だったんやねぇ。「200m先右」といわれたときの都会人的感覚にだまされていたようですな。

パラボラと高原


なんとか、着きました。

45m電波望遠鏡は、畑の中からもよく見えた。のたのたと歩きながらまっすぐの一本道を歩き、国立天文台に入った。
実は、ここも昨日通っている。野辺山駅で道を間違えてから一直線で、ここに通じていたのである。だがまあ昨日は雷雨の中、白線しか見えなかったんだもの。「電波観測所」の看板なんて見えなかった。実はあの雷が佐久の変電所に落ちて、電波観測所も停電になったんだそうな。そんな中、山を登っていたのだと思うと背筋に冷たいものが走る。
さて、入り口は南牧村の観光施設といっしょになっている。ドームシアターなどがある「地方交付税が余りました」的施設である。とりあえず隣接した土産物屋で盛りうどんを食べた。パックにゆでたうどんを入れただけの粗末なもの。500円はちと高いかな。
しばらくしてから時間になったので、天文台本館の入り口へ。 45m望遠鏡で有名な野辺山電波観測所だが、中には「10mミリ波干渉計」という小さな(いや、でかいけど)パラボラアンテナが6つあって、それが線路で任意の場所に配置できるようになっている。幅の広い線路が高原にまっすぐしかれているのは、なかなか奇妙な見応えがあるな、と思う。

鉄道用の枕木が左右別々に使われて
いるのをみると幅の広さが分かる。
間隔の広い、ミリ波干渉計移動レール。

自転車の旅装を解いていると、女の子が一人タクシーでやってきた。今回の実験グループ(4人)の一人であった。自己紹介をして中に入り、滞在費を払う。ここの滞在費は破格に安い。実習生しか泊まれないものの、一泊450円、一ヶ月泊まって13000円ぐらい。食事は朝食が220円、昼食・夕食は400円ちょっとだっただろうか。今回は金曜日まで滞在するが、合わせて6250円しかかからなかった。

部屋に入って荷物を下ろした後、開講式があり、早速電波観測の研修に入った。部屋には日本語以外に英語、スペイン語とイタリア語の表記がある。スペイン語は特に多くの場所に書いてある。これは、ペルーのアタカマ山の上に巨大な電波望遠鏡を作る「ALMA」計画のためにその関係の研究者が来るからだろう。朝ご飯用のドレッシングも、何だか謎な外国製品が混じっていた。

私がここに来たのは、いて座散光星雲に付随した「m17」という、星の生まれるもとになる分子雲を野辺山の45m電波望遠鏡で観測する実験をするためである。電波「望遠鏡」とはいうが、原理は大したことじゃない(いや、本当はすごいんだが)。
アンテナを宇宙のある一点に向けると、その点から波長の長い電磁波(ミリ波)が受信される。それを分光したスペクトルがコンピュータに取り込まれる。よく研究機関にあるIR分光分析器の巨大版のようなものだ。

さっそくコンピュータで測定用のテーブルを作り、(対象のことはよく分かってないが)どのようにして観測するか決めた。とりあえず、全体についておおざっぱに測ってみることにした。
テーブルを作ったら、見学の前にまず腹ごしらえ。夕ご飯は、なかなかいい感じである。食堂ではご飯はすでに用意された状態で棚の中に入っており、それを勝手に取って食べるようになっているのだが、400円かそこらなのに4,5品あっておまけにご飯は丼で食べ放題。おかずに合わせて丼で3杯も食べてしまった。
夕ご飯を食べてからいよいよ、45m望遠鏡に集合してまず見学した。街灯のない、花畑のなかの細い道路を500mぐらい歩いていったところに圧倒的な存在感で聳(そび)えるアンテナ。

夕暮れの45m電波望遠鏡
夕方ともなると、すでに気温は18〜20度程度まで下がってくる。すぐ横にある建物のコントロールルームはコンピュータとオシロスコープなどを組み合わせた装置が並ぶ部屋で、外より暑い。望遠鏡を直接制御するためのパネルとコンピュータはその部屋の一角にあった。コンピュータはSolarisのワークステーションで、ウィンドウマネージャはデフォルトでCDE(OpenWindowsとかも使えるらしい)。けっこうシステムとしては古めな感じではあった。ktermで日本語使えな〜い。sshにパス通ってな〜い。まあ、観測のためには関係ないけどね。コントロールパネルの横に「望遠鏡が暴走した場合の手順」という紙が何カ所にも貼ってあった。この望遠鏡、暴走するのか?(^^;
準備ができてから望遠鏡の中へ。望遠鏡自体は円形のレールの上を-180度から+180度まで動けるようになっており(azimuth)、そのときにはミラーや観測装置の積んである部屋(いちおうクリーンルームらしい)も一緒に回転するようになっている。入り口を入るとすぐにスリッパに履き替えるのだが、下駄箱に変な靴がある。底が"かんじき"のように広く、またきめ細かい構造になっている。院生の人に聞いてみると、これはアンテナのパラボラの部分を歩くための特殊な靴で、通称「忍者靴」というんだそうな(写真)。


鏡面用「忍者靴」

こんどわれわれも、パラボラの方まで登らせてもらえるらしい。アンテナからの信号は、穴を通って観測器まで導かれる。ミラーをいろいろ切り替えて複数の分光器に信号が入るように設計されており、機器室にはいろんな穴が開いている。分光器は、かすかなノイズも殺すために液体ヘリウムや液体窒素で冷却されている。超電導磁石などを使っている人には懐かしい感じの、いかにも液体ヘリウムっぽい音がする。こんな辺鄙な場所だと、液体窒素はタンクローリーで運んでくるようだが、液体ヘリウムは本館の一階に製造設備を持っていて、ボンベの気体ヘリウムを液体にしているらしい。機器室には、この部屋の主のような人が一人いて機械の調整をしていた。

マウスクリック一つで望遠鏡が動く。

コントロールルーム内部。
で、戻ってきてコントロールルームへ。観測開始である。「Start Observation」というボタンを押すと、動くのである。700tもある45m望遠鏡が。マウスクリックひとつで音を立てて動くのである。いつも使っている人は当然のようにぱちぱち押して動かしてしまうが、もっと丁寧に押したいところだな。今日は同じグループの仲間が押したので、明日こそは「Start Observation」を押す! と決意する。そしてデータ解析に入った。出てくるデータは膨大な量でてきてしまうので、その場で解析しながらやっていかねばならない。20時にはじめて22時、時間はあっという間であった。最後の方は、前日の疲れもあってか眠気に襲われ、まともな作業ができなかった。もうなんか、人事不省というか。声も声になっていなかったような気がした。
研究・宿泊施設に戻る途中の空は、星々に埋め尽くされていた。天の川、夏の大三角形、さそり座、白鳥座、いて座、ペガスス座、カシオペア座、おおぐま座、そしてアンドロメダ大星雲。その間を埋める無数の星々。 私たちが「おぉ、天の川すげー」とか言っていると、我々の研究につきあってくれた院生の人(少し前に東京から来たらしい)が「え? あれ雲じゃないの?」とびっくりしていたので大爆笑。「毎晩雲が出てるのかと思った」そうである。雲と見紛うほどの天の川なのだ。 ほか、天文関係者も多いので星空の話には事欠かなかった…が、眠くて意識が飛んでたので忘れました(^^;
500m歩く間に流れ星が3つも見えた。今は特に流星群の時期でもない。このあたりだと、毎晩たくさんの流れ星が見えるようだ。願いをかけている暇はなかったけれど。

コンピュータと向き合う


天文関係施設に毎年貼ってあって気になる美少女イラスト。
岡山天文台の宣伝である。
ちなみに、天文台へは「遙照山」ゆきのバスに乗る。

朝の食堂。クーラーがないのに注目。

私が昨日力つきた後、グループの残り3人+院生1人でまた星を見に行ったらしい。くそっ、置いて行かれたか。
朝食はすげーいい加減である。「冷蔵庫の中にサラダと食パン(ただし業務用のながーいやつ)と牛乳とバター・ジャムがあるから、適当にパンを切って焼いて食べてね」ということらしい。休日だとさらにサラダも作ってなくて、パンと卵のパックが冷蔵庫に入っているだけ。なかなか切ないものである。手抜きやなあ。おばちゃんは9〜10時頃にやってくるので、食堂には我々しかいない(研究員の人も大体は寮やふもとから出勤してくるので朝は各自摂るらしい)。

さて、3日目。まずは昨日と同じコンピュータルームに集合し、昨日とったデータの残りを処理する。Unixのワークステーションで、大量のスペクトルを処理する。そう、電波望遠鏡で見えるのはギザギザのスペクトルなのである。星雲の画像じゃないのである。結果が一発で目で見えない分、「おぉっ」という感触はない。が、目で見えない部分を「電波の目」見ているからこそ、分かってくる情報というのもあるのだ。
さてさて。大量のスペクトル処理に戻ろう。なにしろいくら望遠鏡の精度がいいとはいえ7000光年の彼方にある天体の出す微弱なミリ波(赤外線より波長が長い)を見ているのだ。空気の層を通しているせいでほとんどがノイズである。普段とっているIRなどとはS/N比が桁違い。S/N比を上げるためには、たくさんの回数観測してノイズをうち消していくしかない(他には、別の場所で取ったスペクトルと干渉させる方法とかもあるけど)。ひたすら合成すればシグナルはどんどん重なり、ノイズは平均化されていくわけだ。つまりまあ、とにかくたくさんの回数観測して重ね合わせるしかないのである。たった16ヶ所の観測でも、5回ずつ、6つの分光器で観測すれば出てくるスペクトルは480にもなる。これを重ね合わせてベースラインをまっすぐにし、1〜5つ出てくるピークを正規分布で近似してその高さと位置、半値幅を調べるという作業をひたすら行う。4人で朝からずっとやって、昼飯を食べて、またやって、結果がとりあえず形になったのが3時頃。それから今日の観測計画を作った。観測の重点を置きたいところを考えてまた観測用のテーブルを作る。
夕飯を食べたらまた45m望遠鏡へ直行。観測がはじまる。昨日と今日で必要なデータは全て取ってしまうので、5日間ある実習の中でも今日が最後になる。カメラを持っていって記念撮影をして、測定開始。まだ日がくれる前に観測をはじめたので、コントロールルームから望遠鏡が見える。電波望遠鏡が見ているのは電波だから、昼間に観測してもかまわないんだよね。ただし、観測対象の星が出ていればだけど。

とりあえずコントロールルームで記念撮影(写真提供:白鷹範子さん)
さて、念願の「Start Observation」ボタンを押す! 望遠鏡が動き始めた。対象となる天体を探して、回転しながら縦方向(elevation)も同時にまわり、南東の地平線へパラボラが向いていく(パラボラはデフォルトで真上を向いている)。感無量である。スペクトルを見ていると、データの揺らぎがかなり大きい。地平線方向からくる電波を見ているということは、観測する電波が長い空気層を通ってきているということ。それだけ大気のノイズを拾ってしまったのだ。
その後はひたすら観測。ワークステーションのディスプレイは19〜22インチくらいあって大きく、見やすい。今日は夕方から深夜までぶっ通し観測なので、途中かわりばんこにご飯を食べにいった。7時を過ぎてしまうと、もう鼻をつままれても分からない闇である。

夕食から帰ってきてデータ解析、10時を過ぎると……また眠くなってきた。間違えて、仲間が処理したファイルを消す(笑)。もうひんしゅくものである。なんでこんなことになるかというと、教官の持っている同じゲストアカウントでみんなログインしているから、仲間の誰かが開いたファイルが、次に操作するときにすでに保存対象として入力されているのである。で、気づかないで「OK」を押して上書きしてししまうと。
おまけに、ファイルを開く画面がなんとも紛らわしいのである。Windowsだったらファイルを選んで「開く」ボタンを押すところに、なぜか「Delete」というボタンがあるのだ。でかでかと。これはいかんね。ついつい押してしまう。天文台の方々にもなかなか不評だそうだ。

11時になって予定通り全ての観測が終了、A班と交替した(私たちはB班)。いったん外に出てから研究員の人たちと星空を見上げる。アンドロメダ大星雲の見方を教えてもらった。星雲は、少し目をそらし気味に見るのがポイントらしい。そうすると、目の端にぼうっと引っかかるそうだ。早朝になればここだと夏でもオリオン座がはっきり見えるそうだ。

コンピュータと向き合う(再び)

倒れるように寝て、朝が来た。18度。半袖では寒い。コンピュータルームに行くまでのしばらくの間、パンク修理をした。が…すぐにチューブがはじけてしまう。チューブのせいかと思ってもう一度やってもダメ。タイヤの中のゴミや突起のせいかと思って中を掃除したがダメ。リムのせいかと思ってビニールテープを貼り直し、いろいろ確認したけどダメ。どうやらタイヤのゴムが伸びすぎたせいか、ないしはナショナルのチューブがダメダメなせいかどちらかだろう。この調子だとツーリング続行は困難だな。帰りは自転車を畳んで小海線で帰ることにしよう。悔しけどっ。

さて、昨日に引き続きデータ解析。明日までにレポートを作って結果をまとめ、考察してプレゼンをやらなければならない。みんな操作はもう慣れっこである。みんなが出した結果をExcelに入れて整理していくが、どうしてもひとつだけ計算できない項目がある。「アンモニアの柱密度」というやつである。
これだけは、複雑な方程式を解かなければならず、それに一般解が存在しないのだ。ニュートン法で数値解を求めなければならないので、昨日はMathematicaのFindRootコマンドを使っていたのだが、今日になってあまりに計算量が増えてしまったので、Excelでも計算できるようにExcelVBAのプログラムを書くことにした。昼間ひたすら書く。外を見ると、まぶしい日射しの下、高原野菜畑が広がっている。真っ青な空である。でも、書いてるのはVisual Basic。プリンタは紙詰まり。なんかちょっと切ない。まあ、大海原に向かって秀丸エディタを立ち上げるほどではないな。
図書室に行って論文も調べた。「Astronomy and Astrophysics」とかの論文を読む。英語で天文学の論文を読むことになろうとは。ふと振り向くと、東大書籍部の「ほん」という小冊子が。今月の特集は「萌え」だそうで、こみっくパーティーだのなんだのと記事を書いては恥をさらしている(笑)。あーあ。こんなの日本中の関係施設に送りつけて恥をさらしてるのか。勘弁してほしいなぁ。
机の上には「国立天文台 野辺山宇宙電波観測所 一般公開」といういい感じのポスターがいっぱいあった。名前を書けば誰でも持っていってかまわないらしい。北海道から種子島まで、実に多くの研究施設に送っているらしいけど。
昼が過ぎ、夜が過ぎ、早朝になった。データが一通り揃ったのでみんなでプロット作業に入る。 ホワイトボードにToDoリストを作り、みんなでああでもない、こうでもない、と討論する。 私が3時頃に力つきてソファーで寝てしまった。2時間後に目覚めてふとホワイトボードを見ると、なんだか凄い理論が。 私以外の3人のうち2人が惑星地球科学専攻なので、そのテイストも入っている。昼間読んだ論文の片鱗も見える。今回の測定結果をうまく説明している。実に面白い。
…のだが。今回の測定結果だけから、この理論の全てを実証することができないのだ。 進捗を見に来た教官に指摘され、一瞬で大理論は棄却された(^^;。

ホワイトボードを見て苦笑する砂田和良氏(45m電波望遠鏡運用責任者)
結局みんなほぼ徹夜。少し寝たとしても疲れはあまりとれない。高原は涼しいので寝苦しくはないが、湿度が高いのである。レタスの名産地だけあって、常に湿度は100%である。乾燥しているほど、ストレスは短時間で除けるのだ。そして、それが胃に来る。朝食を食べながらふとドレッシングの瓶を見たら賞味期限が数ヶ月前に切れていた。 で、他のドレッシングやポン酢も見たが、かなりのものがとっくに切れていた。なんだかなぁ。消費する速度が遅いのは分かるけどさ。
そんなとき、黄色透明なミツカンのポン酢を見てみんな驚いていた。私は最初、何を驚いているのか全然分からない。「だって醤油が入ってないだけじゃん?」というのだが、そのとき一緒にいた人(海老名、松江、神戸、奈良)の人は茶色くないポン酢を見たことがないという。透明なポン酢って地域限定ですか?(笑) 知ってる人いたら教えてくださいナ。
疲れているが、もうやるしかない。朝昼通して17時の発表へ追い上げていく。途中で昼ご飯。いろいろ忙しくしている間だが、「あ゛ー、とりあえず飯喰うか」と言って食堂へ向かう。この「とりあえず飯喰うか」っていい言葉ですな。私は大好きです。毎日いいたいくらいです。まあいろんなことはあるけど、まったり「とりあえず飯喰うか」って感じがね。
で、生そばを食べた…が、「棚に入っている」ので乾いていた。箸で持ち上げるとざるの上のそばが全部一緒に持ち上がってくる。べたべたしてまずい。おいおい、ラップぐらいかけといてくれ。そういえばこの食堂、実習生が来ているときは変な実験メニューをいろいろ出してくるんだそうな。去年は、肉とニンニクの炒めものに対抗して、ニンニクが一個まるまる肉の中に埋まっているという謎な物体を出したらしい。材料は同じだけど、それは…どうなんでしょうね?
とりあえず追い上げ続行である。焦ってはいるが、けっこう心の底では落ち着いている。結論をまとめ、OHPを作った。とりあえずギリギリに仕上げて発表の順番まで決めた。ときに17:25。発表開始時間を過ぎてしまった。急いで講義室に向かう。

発表は我々B班からになった。A班は、それはもう楽しそうに観測からデータ整理までやっていたわりに、プレゼンの用意がまだ完璧ではなかったらしい。そりゃもう彼らはいつも楽しそうだったので、ちと羨ましかったのですわ。ってか、なぜいつも彼らのテーブルには「リッツ」があるのか? いつも気になっていた。この観測所では、缶ジュースさえ手に入らないのだ。往復60分かかる駅前のco-opまで行かないとリッツは手に入らないんだが…まさか買いに行ったのか?(笑)
発表の内容は…まあ、いいや。読んで楽しいのは天文系の人だけだからね。
化学部をやっていた高校時代から、「発表→先輩に完膚無きまでに突っ込まれてボロボロにされる」を繰り返していた身としては、あまりに突っ込みが少なくて驚いた。どうやら、今回限りということで研究員の人も見逃してくれたらしい。後味が悪くならないように配慮してくれたんだろうけど、ちょっと悔しいかな。我々みたいなガキの発表もガキなりに、本気で相手にして欲しい気もするんだけどね。

発表が終わった後は懇親会(飲み会)に突入。際限なく続く東工大や京大の話を聞きつつ、ひたすら枝豆を食う。 化学系の私としては、普段絶対聞けない話だな。 夕食後で腹が苦しいけど、なんだかずっと食っていた。
…ふと目を覚ます。寝ていたらしい。左からは熱力学の話、右からは恋愛の話が聞こえてくる。それぞれの話自体は聞いていて面白いんだが、混じると突然苦痛になる。
退散して風呂場へ。-20度Cにもなる冬場に、望遠鏡から帰ってきた人が疲れを癒すための大?浴場があるのだ。熱めの湯でゆっくり浸かる。東京では相変わらず37度Cとか言っているが、こっちは18〜28度である。汗は殆どかかないし、熱い湯が心地よい。
風呂から出てロビーに戻ると、熱力学の話をしていたA班だけが残っていた。「B班の人、外に星を見に行ったよ〜」だそうだ。また一緒に行く機を逃したらしい。

部屋に戻って自転車の最終チェック。やはり、前輪がだいぶ傷んでいる。周囲のケブラー(特殊合成繊維)がボロボロになって、ゴムがゆるんでしまっている。パンクしたのはこのせいらしい。
…というか、「二日間ほぼ徹夜したあと」、「飲み会明け」で「日射しが強くて」「標高1300mの空気の中を」自転車で走って楽しいほど、俺も屈強にはできてないよな。
やっぱり素直に鉄道で帰ろうっと。

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SHIMURA Harutoki <tt67136(あっと)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp>

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