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目次
はじめに〜宗谷岬→稚内
稚内→サロベツ原野→初山別
初山別→留萌→旭川
大雪山の紅葉再び
自己啓発セミナーの罠? 旭川→美瑛→富良野
富良野→狩勝峠→新得
新得→帯広→帰路、総括

9/17 稚内→サロべツ原野→初山別 121 km

2日目。地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
2日目。地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
朝はパン。ジャムは、手造りのコケモモジャムとハマナスジャムであった。ハマナスの実を煮て裏ごしすると、オレンジ色のケチャップみたいになるとのこと。今がシーズンだそうな。思わず「知床〜の岬に〜♪ ハマナス〜の」とロに出そうになるが、こんな所で変なおっさんぶりを現しても仕方ないのでこらえる。
中央がハマナスジャム。
中央がハマナスジャム。
朝の防波堤。
朝の防波堤。
今日のコースは、ど平坦な原野をー直線につらぬく道。地図を見るとこの先65km、天塩(てしお)の街までコンビニがない。とりあえず昼には天塩に着くだろう、と水だけ持って出発。北の納寒布(ノシャップ)岬を通って遠まわりをしていく。ちなみに最東端は納沙布(ノサップ)ね。まあどうせ語源のアイヌ語は同じなのだろう。
ノシャップへの道。
ノシャップへの道。
岬の灯台へ。
岬の灯台へ。
コンクリ舗装がいかにも港町らしい納寒布を技けると、その十数km先の抜海(ばっかい)までダイナミックな丘の景観が続く。この宗谷丘陵は、北から続く造山帯の一部とかなんかで、北海道の他の所とは違うのだ。おととい秋田大の鉱業博物館(オススメ)で見たから間違いない。

バス停は「〇〇宅前」ばかり。北海道でまだ家のあるエリアのバス停はこんな感じだ。何もないと「〇〇原野」とか「南一線(開拓の名残)」とかね。家々の前には、「無事カエル」と書いた手造りのカエルの人形がたくさんある。それはもうたくさん、頻繁に。交通安全のメッセージらしい。よく見ると網用の浮きを再利用してある。ひもを通す2ヶ所の穴が目になるわけだ。
桜井さんち。
桜井さんち。
こういう「無事カエル」が家々の前にある。
こういう「無事カエル」が家々の前にある。
道はきれいで立派、歩道完備だが、この先1日走ったけれども原野の中の歩道を利用していたのはトレー二ング中の陸上の人?だけだった。ま、この辺だと冬除雪した雪を積むスペースとしても歩道は役立つんだけれど…
この歩道はいるのかね?
この歩道はいるのかね?
抜海あたりの丘に特有の風景。
抜海あたりの丘に特有の風景。
「美人にね みとれてないで 前見よう」って人すらいないよ?
「美人にね みとれてないで 前見よう」って人すらいないよ?
と思ったらいた!
と思ったらいた!
抜海には食堂と寺があったくらいで、角を曲がるとその先は原野だった。
抜海市街。
抜海市街。
ガードレールも電線もなくなり、ススキの揺れる原野と海の間をまっすぐ通るだけの2車線道路。道以外の人工物は皆無だ。すげぇ。 風のため、速度は15km/hしか出ない。次の集落まであと20km以上ある。淡々とペダルを回しながら、心を去来するのは今のこと、研究のこと、人間関係のこと、これからのこと…正直泥くさいことばかり。でも、普段は積んだノルマを優先順に処理してるばかりだから、他に何もできない状況を用意しないと考えられないことだってある。
さて、ここから紹介する→
さて、ここから紹介する→
→写真は、
→写真は、
全部→
全部→
→数km以上離れたところで
→数km以上離れたところで
撮影した→
撮影した→
→写真ですよー。
→写真ですよー。
午前中ずーっとこんなところを→
午前中ずーっとこんなところを→
→ずーっと淡々と走ってたんですけど
→ずーっと淡々と走ってたんですけど
そろそろ腹が減ったのに→
そろそろ腹が減ったのに→
→飯屋どころか人工物がない…
→飯屋どころか人工物がない…
お! 人工物「看板」
お! 人工物「看板」
→…じゃあ腹はふくれないしなぁ。
→…じゃあ腹はふくれないしなぁ。
まだぁ?
まだぁ?
や…やっと建物が…レストラン!! って閉まってるよ!
や…やっと建物が…レストラン!! って閉まってるよ!
…しかし腹減ったな。稚内市内のコンビニで何か買ってくるべきだった。朝食のパン3枚なんてあっという間に腹からなくなったよ。次の稚咲内(わかさきない)に行けば何かあるかもしれない。稚咲内に着いたのは正午ごろ。しかし、唯一のレストランは休日で閉まっていた。ありえねぇ。
港だけがある稚咲内。
港だけがある稚咲内。
一瞬で原野へ。
一瞬で原野へ。
人工物「路側を示す矢印」が追加された!
人工物「路側を示す矢印」が追加された!
人工物「スノーシェルター」が現れた!
人工物「スノーシェルター」が現れた!
次の街、天塩まで20km。空腹の中、足を回すが、心は折れそうだ。すると原野の向こうに石油タンクのような巨大な何かが出現したではないか。あれは何だろう、と走っても走っても近づかない。10kmほど行って気付いた。あれは、道に沿って一直線に並んだ風車だ。その列を斜めから見たせいで見間違えたようだ。ドン・キホーテみたいだ。気付いてからも全然近付かない。足も重い。
人工物「北緯45度線」…はいいから飯はまだかー。
人工物「北緯45度線」…はいいから飯はまだかー。
…と左前に営業中のレストランを発見!
…と左前に営業中のレストランを発見!
「カレー アイスクリーム 地平線倶楽部」の看板が見えた。これは助かった。最速入り、ジンギス力ン定食を注文する。定食は値段(850円)の割に品数も多く美味い。お代わり自由なのでご飯3杯食べた。

これで850円、お代わり自由は安い!
これで850円、お代わり自由は安い!
元気を回復して風車へ。高さ74mの風車に50mの羽根がついたのが28基あるそうな。3階建ての小学校が12mだから、尋常でない規模だ。しかし空と海と地平線しかないここでは、比べるものもないのである。
10km手前からも見える巨大な風車群。
10km手前からも見える巨大な風車群。
小規模で、初期投資が要る以上補助金なしでは難しいのが現状か。
小規模で、初期投資が要る以上補助金なしでは難しいのが現状か。
ちなみに、風車の下にはダートの管理用道路が1kmぐらいある。オフロードバイクを持っていて、どうしても気軽にダートを走りたい人はちょっと遊んでみるのも一興。ただし、管理用なので本当は立入禁止だから、よい子は行かないように。
けっこうなスピードで回っている。
けっこうなスピードで回っている。
自転車と。
自転車と。
荒涼と続く。
荒涼と続く。
サロベツ原野。
サロベツ原野。
海の向こうには利尻富士がのぞまれる。
海の向こうには利尻富士がのぞまれる。
さて、天塩(てしお)はそれなりの街で、稚内以来初のコンビニ(セイコーマート)があった。飲み屋街も一応あるくらい。ま、以前見た紋別の繁華街の惨状を鑑みるにもうほとんど閉店しているだろうが…。かつて、内陸の幌延(ほろのベ)からこの町を通り、日本海岸の留萌(るもい)まで、羽幌(はぼろ)線という鉄道が通っていた。その名残がどこかにあるかと見回してみたが、全然わからない。オホーツク海岸のように残そうとはしていないらしい。

町には「夕映」という日帰り温泉がある。この漢字をなぜか「ゆうばえ」以外のふりがなで読んじゃう困った人や、検索エンジンで“夕映”を検索した結果ここに飛んじゃったけど何となく読んでるあなたは、勝手に聖地巡礼とか称して行けばいいじゃない。
「ゆうばえ」
「ゆうばえ」
陽光に煌めく天塩港。
陽光に煌めく天塩港。
 さて、次の町は遠別(えんベつ)。これも何とも北海道らしい地名だ。
またかよ…
またかよ…
遠別市街。
遠別市街。
20km畑の中を走って、着いたがそのまま通過。 今日の目的地はこの先の初山別(しょさんベつ)という小さな村の、ライダーハウス「風来旅団」である。初山別へはさらに20km程度、しかも走っていくと困ったことに、1km程度の繰り返しでダイナミックなアップダウンが始まった。
この視界で1kmぐらいはある。
この視界で1kmぐらいはある。
丘を越えて登り下り。元気をふりしぼって、下りに追いうちをかけて登りのエネルギーを稼ぎながら走っていく。意外と平地をだらだら走るより速いかもしれない。途中、モオタコシべツ川という変な名の川を渡るところで、国道に沿って橋の跡があるのを発見! あれは旧羽幌線の鉄橋に違いない。廃止からたった19年なのに、橋以外全くわからなかった。ここまで面影は薄れてしまうものなのか。
羽幌線鉄橋
羽幌線鉄橋
 初山別の手前に村営の天文台・海水浴場・キャンプ場・温泉・ホテルの総合施設がある。今日はライダーハウス泊なので、ここで風呂に入ることにする。風呂は西、つまり日本海に面していて、折しも時刻は日没10分前であった。
日本海に陽が沈む。
日本海に陽が沈む。
赤く大きな太陽が、刻々と色を変えていく空と海の間に没していくのを、温家に浸かりながら見届けられた。こんないい場所と天気・時間にめぐりあうことなどもう一生ないと思いつつ、ここが公衆浴場で、シャッターを切れない悔しさにほぞを噛んだ。まあ、読んでくれてる皆様はできるだけ綺麗な夕日を思い浮かべて下さいな。でも本当は隣にいるのが知らない裸のオッサンであることにほぞを噛むべきかもしれない。とか思ったり。

暗くなった道を残り5km、汗をかかないようゆっくりと初山別へ。
トワイライト・オン運動。
トワイライト・オン運動。
街にはほとんど誰もおらず、役場や商工会議所、郵便局の並びに小さな商店がある。店に入って夕食と明日の朝食を調達しようとしたが、パンや弁当のたぐいは全く棚にない。酒はある。店のおじさん曰く、
「大福10個入りとソーセージはある。つまみならさつま揚げのパックがある。あと自分で焼くならそばとか生肉とかやろうか?」
いや、生肉とか全然いらないし。つまりロクなもんはないわけだな。ただ、明朝摂る栄養が足りないと困る。それは昨年サロマ湖〜網走のハンガーノックで思い知った。仕方なく大袋の大福とソーセージ、ビールを買った。
唯一の商店。
唯一の商店。
ここからライダーハウスは2km、国道を離れた暗い道だ。GPSがあるので確実に近づいていることが分かるのは心強いが、LEDで“照らせ”てしまうほどの闇は、私はまだ苦手だ。星空は美しいが、全く人家らしい光がなかった。心細くなってペダルを漕いでいると遠くから犬の吠える声が。そう、このライダーハウス、よく吠える犬がいるって書いてあったわ。安心して止まると電気がついて小学生の男の子達が出てきた。懐中電燈をもって案内してくれる。
「他にお客さんは?」と聞くと、
「いないよ。」
「だからね、今日はね、一番淋しいと思う〜」
と言う。何が一番か分かんないけどお兄さん一番淋しいのか、参ったな。(笑

中はいわゆるライダ一ハウス。古い民家のー室にじゅうたんが敷かれ、甲酎「新ガッツマン」が無造作におかれている。そう、北海道の人好きなのよ、大五郎とかこういうの。冬場に手っとり早くアルコールをお湯割りにして体を暖めなければならない要請からだと思う。
ライダーハウス(男性部屋)内部。
ライダーハウス(男性部屋)内部。
壁に記念写真が。中にはなぜかビニールひもで緊縛されホタテで股間を隠し…いや隠し切れてない人の写真が何枚も。誰だこの変態は。甲酎飲みすぎたのかしら。というか明日一人目覚めるとこの人の写真が…うぅ。

しばらく待つとオーナーの奧さんが迎えてくれた。泊まりは800円、カップめんを150円で売ってくれるという。カップめんを食べつつさっきの店の話をしたら、
「半径20km圏内に1軒しかないのに、あの店は週に1度くらいしか品が入らなくていつもあんなだから、この辺の独身寮の子たちはみんな夕方に次の日の朝食も含めて羽幌のコンビニまで往復40km車を走らせるんだよ〜」
とのこと。淒いぜ北の大地。

しかも奥さんは夕食の焼きうどんの残りを持ってきてくれた。ライダーハウスでこんなに親切にしてもらったのは初めてだ。しばらく奥さんとさしで焼酎(新ガッツマンな)を飲む。夫婦でライダーで、北海道に来てライダーハウスをやっているそうだ。昨日は札幌から女の子が、ママチャリでたった1日でここまで来て、朝4時に稚内へ出発していったらしい。札幌からここまでそれなりにアップダウンのある道を野越え山越え200km程度、とても女性がママチャリで(っていうくらいだから素人よね?)走破できる距離じゃないなあ…クレイジーだ。
 歯を磨いて就寝。明日は南下して留萌(るもい)を目指す。

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SHIMURA Harutoki <tt67136(あっと)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp>

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