9/10 オンネトー〜足寄〜帯広 37km+バス
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今回のルート。クリックでGoogle Mapsに飛びます。
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なかなか眠れなかった。4時間ぐらい眠って朝の5時。水の滴る音で目覚めた。寝ぼけた頭で考える。水…?雨…!?
うわー。自転車がびしょびしょになってる。また帰ったらサドルオイル塗ってやらないと革が割れちゃう。そんなことをしていたら目が完全に覚めてしまったので、ゴアテックスを着込んでオンネトーへ行くことにする。
寒い。15度ぐらいだろうか。冷たい雨のそぼ降る山道を下っていく。50mほど標高を下げたところで、青く透明な湖が現れた。なるほどこれは秘境だ。澄んでいるのは生物があんまりいないため有機物が少ないからだろう。火山性の硫黄の噴出で液性が大きく酸性に傾いてしまったからかしら。CODとpH測ってみたらどうかなあ。
……おっと悪いクセが。げほん。
さて、舗装路の奥まで来た。Y字路の右に行くと、高さ3-4mの巨大フキ(ラワンブキ)が茂る林道。左に行くと、マンガン鉱床のある温泉の滝。なんかファンタジーみたいだ。滝つぼの天然温泉は入れるらしいが、こんな冷たい雨の中入ったら絶対風邪を引くので諦め。
さて、坂を登って帰るか。荷物がないと楽だ。7:30からまた、1人の淋しい朝食。
今日は帯広に出たいが、あいにく雨だ。バスは、50km先の足寄の街まで出ないとない。そこまで人里はほとんどなし。すなわち、どのみち足寄までは走らないといけないってこと。ま、基本下りなので午前中には着くだろ。9時前に出発する。靴に水が入って冷たくなるのは嫌なので、シューズカバー代わりにビ二ル袋をはいた。こんどゴアのシューズカバーでも買っとこうか。
昨日宿に遊びに来てたっぽいオッサンが
「ここからギアをN(ニュートラル)に入れとけば足寄まで着くんじゃないの」
とか言ってたので自転車で何もせずにどこまで行けるか試してみた。(ちなみに免許持ってる人は分かると思うけど、車でNに入れて下るとかダメよ) 結果、7km先の登り返しで止まってしまった。まだ30km以上あるじゃんか。
ここからはまた、GPSとにらめっこのサイクリングになってしまった。だってただの山道なんだもん。雨なんだもん。無心で30km走る。信号はゼロ。たまにトウモロコシの収穫をしている。実りの季節だ。
11時、道は足寄の市街に入った。ここまで走ってきた道もずっと足寄町。なにしろ日本最大の町らしい。足寄は数年前まで北海道ちほく高原鉄道(旧国鉄池北線)の通っていた比較的大きな町。鈴木宗男ぱゥワ〜で(沿線は彼の地元なのだ)自治体の補助を受けつつ存続していた路線も、彼が政治の一線を退いた瞬間に廃止されてしまった。まあすっごく運賃の高い第3セクターだったからJR以上に乗客確保は難しかったと思うけど。
駅舎はそのまま道の駅になり、線路もホームも自由に入れる。いつ列車が来ても不思議ないくらいだ。「池田方面」などのホームの表示もそのまま。切符売り場では、代行路線の十勝バスの切符(硬券!)を売っている。いいね。
ちなみにここはスキンへッドなフォーク歌手の松山千春の地元らしく、記念館が駅舎の2階にあった。彼がヒットしてたのは私が生まれた頃だから、正直知りゃしないが。というわけで駅の売店は、
- ・ムネオ君Tシャツ(誰が着るの?)
- ・松山千春グッズ(やっぱTシャツとか)
- ・まりもっこり(本場だけに)
―以上。
しょうもねえ…しょうもねぇよ…
ま、残りの65kmは、とかちつくちてバスで輪行だ。前輪の上あたりに広い荷物スペースがあって助かる。池北線ルートに沿って帯広まで。途中ほとんど意識を失ってたからよく分かんないが、ひたすら平原だった。
帯広手前の札内(さつない)で下車し、昨年入って気持ちよかったオべリベリ温泉「水光園」へ。オべリベリ温泉。オべリベリ温泉。何回か発音すると語呂が気に入らな…い?(「帯広」の語源となった言葉だとか) さて、入ってみてびっくり。昨年までの建物とはうって変わって、近代的な温泉施設になってるじゃないか。12月に建て替えが終わったそうだ。露天風呂、寝湯、電気風呂などなどたくさん浴槽があって、かけ流しっぽい。塩素臭なし。390円。もちろんコーヒー牛乳も風呂あがりの休憩室も完備。大変よいね。
5時過ぎまでだらだらくつろいでいたが、実はまだ今日の宿を決めてない(笑)。7km先にマンガ喫茶があるな、とか思いつつ窓の外に目をやると、ざあざあ降りになってるじゃないか。あー走る気しないなあ。GPSを見ると300m先にライダーハウスあり。「R38カニの家」だそうだ。もとは自転車屋のようだ。昔旅人のことをカニ族って言ったの?よう分からんが(後註:リュックを背負って旅する若者の様子を当時はこう呼んだ)。
おばさんが出てきて言うには
「あ、4日ぶりにお客さんが」
釧路とは違ってえらくすいてるな。かつては3ヶ月に1000人とかのライダーが訪れたらしいが、時代は変わったのだろう。4部屋あって、その気になれば30人はいけると思われるが、今日は1人。とりあえず飯に行こう。
おばさんの薦めに従って近くの「丸松食堂」へ。「ラーメン」というのぼりと、マジックで「豚丼」と書いた紙が貼ってあるだけの、数席しかない食堂であったが、なんとも穴場っぽい雰囲気を漂わせていた。おばちゃんが1人でやっているようで(実際のところは知らんけど)、優しく迎えてくれた。豚丼を頼むと、旅の話や愚痴につきあってくれつつ、食堂にやってきたいろんなお客の話をしてくれた。なんか心が和む。特別ちやほやしてほしいってわけではないが、一人旅ではこういうのが嬉しい。ポラロイドで撮られたので旅人ノートに記入。豚丼は適度に脂があり(ヒレみたいにカスカスしてない)、味が濃くて関東人の若者なら満足できるうまさだ。帯広駅前の店より美味いんじゃないかな?玉子スープをおまけしてもらって、ありがたく頂いた。北海道には旅人に優しい人が多いなあ。
宿に戻ると、荷物の横にゆでたてのトウモ口コシが置いてあった。「食べて下さい」と書き置きがっ。さっき収穫してたような旬のとれたてじゃないですか〜。マジすかライダーハウスのおばさん。ありがとう! 涙出そうだ。明日晴れるとイイナ。
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