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目次
9/8 東京〜釧路 航空機+19km
9/9 釧路→阿寒 74km
9/10 オンネトー〜足寄〜帯広 37km+バス
9/11 帯広〜広尾線廃線跡〜南十勝 69km
9/12 南十勝〜広尾〜黄金道路〜えりも岬 67km
9/13 えりも岬〜静内 64km
9/14 静内〜苫小牧 77km
9/15〜6 苫小牧〜函館〜東京

9/12 南十勝〜広尾〜黄金道路〜えりも岬 67km

今回のルート

今回のルート。クリックでGoogle Mapsに飛びます。

朝起きると空はどんよりと曇っている。朝食はじゃがいものオムレツなど。パンがやわらかくておいしい。
朝食。
朝食。
9時前に、宿主夫婦が元気に見送ってくれる中出発。うむ。いい宿だった。(後日、ここで撮った私の写真が宿のサイトにアップされてました。呵々。)

誰もいない、時おり大型車の通る国道336号を広尾方面へ向かう。広大な土地が広がり、山が近いせいかよく川を渡るようになった。なんか前を散水車が走ってるせいでずっとウェット路面なんですけどー。
今日は曇っている。
今日は曇っている。
というわけで、海沿いの道道へ。散水車も大型車もいず、17km近く直線である。小雨がばらつき、寒い。ふと足を見ると、甲に死んだミミズが乗っていた。どうやって乗った貴様。途中の橋が「レインボー大橋」とか「シーサイド大橋」とか「コスモ大橋(!)」とかなっているあたりに道の新しさを感じるな。
20万分の1の地図でずっと直線の道道であった。
20万分の1の地図でずっと直線の道道であった。
11時に大都市広尾に着いた。セイコーマートでカップ麺をすすり、体を暖める。この先に、今はバスターミナルとなっている広尾駅がある。鉄道記念館が併設されている。駅の改札ロは残っているが、ホームも道床もない。しばらく記念館を見学した。キハ12の写真に「キハ21」と説明が貼ってある…。栄えていた頃はラッシュで混みあったという記録もあるらしい。そんな話も今は昔である。
広尾駅。
広尾駅。
裏。駅舎はよく保存されている。
裏。駅舎はよく保存されている。
当時のままの駅舎内。
当時のままの駅舎内。
改札口もそのままだ。
改札口もそのままだ。
さて、ここから今日の目的地、えりも岬まで70km。この先の道路の様相は今までと一変し、厳しい海沿いの道となる。波の高い海に張りつくように作られ、庶野(しょや)までの20km以上にわたってスノーシェッドやトンネル、防波壁などが続く。今でも常に工事が続いている。建設・維持に大変な金がかかることから「黄金道路」と呼ばれる道だ。
黄金道路は公式名称だ。
黄金道路は公式名称だ。
隧道。
隧道。
荒海。
荒海。
モエケシ…
モエケシ…
日によっては風が強いらしいが、今日はほぼ無風で助かる。しかし海は暗く荒れ、たまに防波壁や網では防ぎ切れなかった海水が頭上から降ってくるいきなり上から海水がぶっかかるのだ。思わずふらつく。うひゃあ。しょっぱい。というか錆びるよー。トンネルも最大で3200mあり、辛かった。工事のあったこのトンネルでは、片側交互通行時に、腕に反射材のバンドをつけるよう言われた。
工事はずっと行われ続けている。
工事はずっと行われ続けている。
一番大きなトンネル内の工事箇所は撮影している暇がなかった。
一番大きなトンネル内の工事箇所は撮影している暇がなかった。
さて長い黄金道路を抜けたあとは、えりも岬方面の県道へと分岐する。ここで再び道の雰囲気が一変。高山植物や低木の広がる緑の丘の中の平和な道路となった。交通は少なく、とてもいい。残り15km程度で時間もあるので、風景を楽しみつつダラダラと。途中百人浜というところの展望台があったので登ってみた。この百人浜は、過去に放牧のしすぎで砂漠のようになってしまったえりも岬を元の姿に戻すべく、植林をした記念かなにかで、展望台を作ったようだ。中に入って記帳すると、私は今日で6人目の客らしい。灯台のような螺旋階段を上った先の景色はなかなかの絶景であった。太平洋から平原、ガスった山まで見渡せる。近くにある悲恋沼というのが綺麗である。
風景は一変する。
風景は一変する。
展望台より。
展望台より。
悲恋沼遠望。
悲恋沼遠望。
行ってみた。
行ってみた。
さて、ここを出れば今日の宿、民宿仙庭まではすぐだ。ここはもともとえりも岬ユースホステルとして1970年に開かれた場所で、40年近くにわたってたくさんの旅人を迎え、送り出してきた場所だ。今となっては旅人の減少のせいで規模を縮小して営業しているようである。着くと、同い年くらいの女性がひとりジャージで出てきた。お、この人はヘルパーさんかなにかか? すると、彼女が言うことには
宿主のおばちゃんは、今買い物に行っていていないので、あなたを部屋まで案内するように頼まれた。あたしは客です
とのこと。だいぶグダグダなようだが大丈夫なのだろうか。聞くと、彼女は4月に自転車で北海道に入って以来、5ヶ月にわたってぶらぶらしているらしい。この宿にいるのは8日目で、10月あたりまで北海道にいるんだと。そのあと今度は西へ走って沖縄へ行くんだと。日本一周はすでに一回達成していて、今は二周目をゆっくりやっているフリーターらしい。なんとも違う時間スケールで生きているものだ。「昨日は第一展望台に行ったから今日は第二展望台に行こうと思うんです」とか言っている。私だったら数時間以内に全部回って次の町に行ってしまいそうなところに2,3日はかけるわけだな。4日の休みを5日に延ばすためにいろいろ調整している私があほらしく思える。…まぁ、就職して一回ぐらいクビになったら数ヶ月ぐらいそんな旅でもしてみましょうか? 私も。はは。
ユース。
ユース。
入口付近。
入口付近。
さて、宿に荷物を置いてえりも岬へ。岬の突端には岩がいくつかあり、波が打ち寄せている。漁師の人が昆布を干していた。日高昆布は有名だよね。「風の館」という観光施設に行ってみた。JAFの会員割引を使ったら500円のところが400円で入れた。ここの目玉は、最大風速25mをジェットエンジンのような装置で感じられる装置と、岬に繁殖しているゼニガタアザラシを見られることらしい。さっそく望遠鏡に張り付いてアザラシを観察する。なんか頭を出してぷかぷか浮いていた。岩の上に6頭いるというがさっぱりわからない。で、風を感じる装置のほうだが、まぁ当然風が強かった。うーむ。別に面白くない。誰かスカートで入れよ。面白くないな。
…400円の価値はあんまりなかったな、と思いつつ外へ。すると、今までどんよりと曇っていた空が晴れ始め、西の水平線に沈んでいく太陽が姿を現した。おお、これはすごい。しばし見ほれたのち宿へ帰る。
えりも岬突端。見えませんがアザラシがいます。
えりも岬突端。見えませんがアザラシがいます。
落日。
落日。
しかしこの宿、衰退っぷりがすごい。すごくたくさんの部屋がありながら使用しているのは一部、カラオケルームや大広間や、お土産コーナーなどはあるが全部荷物置き場と化している。昔はヘルパーやスタッフがたくさんいて維持していたのだろうか。風呂や洗面所も男女別になっていたのが、いまや共用。トイレの便器も半分故障している。昔はクレジットカードまで使えたようだが今は無理。どうやら宿を管理しているのはおばちゃん一人らしい。大変だなぁ。これ全部片付けて整備して、飯も作って…それは無理だな。なにしろ2010年でユースはじめて40年だものねぇ。25ではじめたとしても65だもんな。さすがに辛かろうよ。
豪華な夕飯。ジンギスカン。
豪華な夕飯。ジンギスカン。
写り切れなかった刺身とか。
写り切れなかった刺身とか。
今日の客は私と例のチャリダーの女の子と、もう一人ロードレーサーでツーリングしているJAFの社員の人と(昔はバイクでツーリングしてたけれど、「もうバイクに戻るつもりはありません」だそうな)、それにYAMAHA XJRのライダーの大学生。なんと今日はチャリダーがマジョリティーになってしまった。ほかの宿泊客は、黄金道路の工事をしている人々。飯場のかわりに提供しているというわけか。夕飯はジンギスカンとお刺身と、キムチとモズクと、…だいぶ多いな。しかも日本酒とビール4本も差し入れてくれた。おばちゃんさすがだ。いろんな宿とその宿主の噂話で盛り上がる。新冠の「仙人」と呼ばれる100円ライダーハウスのオーナーの話とか、石垣島で不本意にも「マニア」とかあだ名をつけられている詩人の宿主の話とか、ほかにもいろいろと。はじめて北海道に来たライダー君にはちょっとついていけない話が連続したかもしれない。23:30まで語り合って、部屋に戻るとさっと眠りに落ちた。

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SHIMURA Harutoki <tt67136(あっと)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp>

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