9/14 静内〜苫小牧 77km
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今回のルート。クリックでGoogle Mapsに飛びます。
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8時前にマンガ喫茶を出て、近くのセイコーマートで朝食。このまま静内を去るのは惜しいので、静内川まで戻ってアイヌ資料館へ。
静内川にかかる日高本線の橋梁がなんとも言えず美しい。このシンプルな橋がたまらんね。トラス橋なんか勝負にならんよ。日高本線の橋はこの先も処々で風景に溶け込んで大変美しく、そのたびに私は立ち止まってシャッターを切らずにはいられなかった。
さて、国道から分岐した道はぐんぐん標高を上げ、1.5kmで100mぐらい登った。朝からいい運動だ。資料館の前は乗馬体験施設で、引退した競走馬(天皇賞を制したらしいぞ)などのサラブレッドが静かに草を食んでいた。そういや、昨日つながれている馬がいたなあ。綱の長さを半径とする円形に草がなくなっていた。なんかの寓話であったような話だ。
9時になったので資料館へ。アイヌの使っていた道具に、鉄製と思わしき釣り針などがあるように見えたのは気のせいかしら。他の道具はとてもプリミティブよね。そうそう、有名なアイヌの英傑、シャクシャインの城跡がここである。松前藩がいろいろと騙しうちにしてアイヌを侵略していくのに対して決起した人やね。像のある丘の上からは日高山脈から静内の街、海を一望できる。これはすごい。今日が晴れでよかった。
下りは60km/hも出た。排水溝で思いっ切りリム打ちしたので「あーやっちまった、パンクか?」と思ったが、どうにか大丈夫だったようだ。目的地は85km程度向こうの苫小牧。今年は時間の関係で自転車ツーリングは苫小牧止まりにしようかと思っている。静内から丘を越えて新冠(にいかっぷ)、さらに越えて節婦(せっぷ)。沿道には牧草地がずっと続き、馬がのんびりしている。牛より放牧の密度は相当低いが。海の蒼、空の水色、秋の雲、地には緑。風は涼しく、日射しは暖かい。あーいいわこれ。なんて楽しいのかしら。
でも大型車が増えてきたなあ。路肩が狭く、しかもこの辺の運転者は(東京と違って)ギリギリの幅での追い抜きに慣れていない。対抗車がいて、追い越しの際にはみ出せないと、私のうしろで大型車が止まってしまう。どうも気まずい…。道沿いの日高本線は相変わらずいい味を出している。清畠という小駅で休憩した。海沿いの小さな駅舎に一面だけのホーム、列車は2時間に1本だ。近くの工事現場では列車監視員のオッサンが暇そうにこっちを見ている。
門別(思ったよリ小さな町だ)のセイコーマートで昼食。ここから目的地まで50km超である。ぼちぼちいきましょ。
鵡川(むかわ)、浜厚真(はまあつま)と過ぎて、国道からそれることにする。大型車が鬱陶しいので港側の県道から行こうと考えたのだ。ここからの道は淒かった。ススキが一面に広がる大平原に一本の直線道路が通っていく。ここは本当に苫小牧の港湾地区なのだろうか。サロベツ原野と言われても信じてしまいそうだ。今回ツーリング中に何度か試しては実感したが、真に北海道らしい風景というのは国道をはずれた所にこそ、いっぱい転がっているのだな。ま、国道を使わないと長距離移動はできないが、開発が進みすぎず車の少ない道道に行くといい体験ができることが多い気がする。
そんな野原の中に日高本線の浜厚真駅はある。この駅はすごい。小さな貨車駅で乗り降りする人は一日に何人いるのやら。ここにはどこまでもうろこ雲の続く秋空と、静かに揺れるススキの原野があるだけだ。新千歳から飛び立った飛行機が、航跡を残して消えていった。
ああ、今年も夏が終わったのだな。
そんな実感が、満足と幾分のセンチメンタリズムを伴って訪れた。あと20km走って苫小牧に着くと、私の26才の夏も終わる。
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さて。国道36号に入ってからの最後の7kmは酷かった。フェリーターミナル周辺の大きな国道なんて、走ってロクな目にあうもんじゃない。20tトラックだ、30tトレーラーだ、もうここは第一京浜かっての。ペースを27km/hくらいに上げて先を急いでいると、食肉の不祥事を連発した、かの有名な「ミートホープ」の本社があるではないか。自己破産した旨の紙が貼られ、小さな事務所もブラインドがおろされていた。とりあえず記念撮影(^^
苫小牧港は以前、私が初めて上陸したこともあって懐しい。冬のさなか、雪道で車輪の回らないカートを引いて駅まで3kmも歩くとかいう暴挙に出たりしたっけ?…とかきょろきょろしていると、港から出た瞬間に警察につかまっているライダーが!調子に乗っていきなりアクセル開けたんだろ?やーい、ばーかばーか。
駅に着いたのは16時頃であった。釧路空港から6日、やっと着いた。満足だ。
さあ、あとは風呂、酒、そして海鮮である。異論のあるハズがない。駅から6kmぐらい室蘭方面に行ったところの「温泉割烹いといの湯」は、1980円で海鮮丼(茶碗蒸しやカニのみそ汁等5品つき)と健康ランドの入浴がセットになっている破格の施設だ。しかもプラス1050円で泊まれる。風呂はきれいだが少々塩素臭くて75点、飯はいくらがほとんどつぶれていたのと、追加で頼んだホッキ貝(名産なのだ)のバター焼のバターが全然とけていなかったのとで60点。ま、ビールはうまいし、この安さでこのサービスなら一流の健康ランドといって差し支えなかろう。
しかし風呂で鏡に映る自分の日焼けはキモい。手袋から半袖の先までの間だけ腕が焼け、足は膝上から下だけ黒い…まるで履いてもいないのにニーソックスだ。ははは。
これならhistory(釧路のライダーハウスね)のおばちゃんも認めてくれるだろう。きっと。
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