9/13 えりも岬〜静内 64km
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今回のルート。クリックでGoogle Mapsに飛びます。
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目覚めると外はよく晴れている。霧も出ていない。すばらしい。今日は楽しみだ。朝ごはんもしっかりボリュームがある。ユースのおざなりなご飯じゃない。和食で満足。
そのあと、おばちゃんが船の大漁旗を持ってきて記念撮影をした。そして各人が出発していくのをそれぞれ、大きな旗を振って「がんばれよー」と、見送っている。おばちゃんすごいなあ。何千人そうやって見送ったんだろう。
私が出発する段になると、
「2010年は5月から10月まで、40周年記念で毎日飲み会やるから来てね」
とかおかしいことを言って送り出してくれた。どんだけ飲む気なんだよおばちゃん。
記念撮影。 |
おばちゃんいい笑顔だ。 |
えりも岬を過ぎ、今日は静内(現・新ひだか市)を目指す。いきなり絶景が開けた。草原の丘の上の道から見ると、右も左も太平洋だ。これはすごい、感動的だ。みんなレンタカーでもバスでもいいからこれは行ったほうがいい。もちろんバイクや自転車がベストだと思うけれど。
しかし風は強い。場所にもよるが、がんばっても平地で13km/hぐらいしか出ない。日によっては自転車で5km/h以上出ないときもあるらしい。えりもの強風は名物だからなぁ。このぶんだと、80kmをふだん5,6時間で走っているのが今日は倍かかるぞ? うへ。
そして細かいアップダウンが始まった。6-8%ぐらいの登りと、下りが連続する。バイクの人は「イーヤッホウ!」とジェットコースター気分らしい(セキレイ舘のオーナー・談)。自転車はそうもいかないのでだらだらと。
日高本線の終点、様似(さまに)まで30km。ここがあとから考えれば今日のハイライトであったといっていいだろう。漁港をつなぎ、きらめく海沿いをずっとトレースしていく道。風は強く寒いが、絶景と晴天で気分はとてもいい。これはすごい。
しかしどうにも速度が出ないので、けっきょく様似に着いたのは12時近いころだった。一日7本やってくるキハ40が、ゆっくりと発車していった。終着駅ってのはいい雰囲気だ。
セイコーマートでスズメバチから逃げつつカップめんをすすり、再び出発。次の町は浦河。ここは15kmぐらいしか離れていないので気分が楽だ(あれ、感覚変になってきた?)。
日高本線が道に合流してからはこれがまた味のある風景を演出してくれる。海沿いの一本の線路、川を渡っていくプレートガーダー橋。そして牧場。そう、日高地方はサラブレッドの放牧で有名なのだ。優駿街道、なんて呼ばれているとか。日本の競走馬の大半が日高で生産されている。そしてツーリング中に牧場のあたりで倒れたりすると、美人四姉妹のいる牧場に拾われた上、次女と恋仲に…あれ? うーむ、人がいないよ。どこまでいっても馬しかいないな。はい。次行こう。
浦河はなかなか大きい町であった。どんどん日高を横断するルートと合流していくので、北に行くほど交通量が増えてしまう。だんだん大型車が増えてつまらなくなってくる。
途中郷土資料館&馬事資料館というのがあったので入ってみた。うーむ…すいません、面白かったけど。GIレースをいくつも言えない私が行くより、いろいろと興味のある人が行ったほうが楽しかっただろうな。資料館を出ようとしたところで、リアにサイクリングバッグを装着したBD-1が通り過ぎていった。うわ、同族だー。北海道で初めてみたー。向こうはこちらに気づいていなかったので、よほど追いかけて挨拶しようかと思った。
さて、この先は静内まで40kmぐらいある。長い。ただ、風が弱くなってきたので淡々と漕いでいく。午前中と比べ、なかなかいい調子で残り距離が減っていく。馬は家族で群れるのか、家族や双子の仔馬が一緒に草を食(は)んだりしていると、見ているこちらもほほえましい気になる。町の6kmほど手前で「静内温泉」への分岐となった。この時点で日没30分ほど前。ここは老人福祉が主な目的の公共施設であるが、一般の人も400円で入れる温泉だ。北海道の温泉は安いのが多いなぁ。ここも黒湯。いいお湯であった。食堂もあったので天丼を。ビールを飲んでこの旅行記を書いたりしていた。
日もとっぷり暮れた。今日はこれから静内のマンガ喫茶に泊まる予定である。旅行記を書いたり、ネットにつないだりしたいし(もちろんメールは見ないが)。予想はできていたことであるが、温泉を出るともう何にも見えない。真っ暗だ。街灯や対向車のライトで見える場合はともかく、ないときはLEDの光で照らし出される白線を頼りに走っていく。市外までの3,4kmはけっこう心細かった。静内川を渡ってしまえば市街は大きく、安心した気分になる。そうそう、静内は歌手の下川みくにの出身地。「遠い星」という歌の中に
「♪生まれた町 育った場所 静内川で見る綺麗な夜景」
という歌詞が出てくるのを思い出す。おお、私が今見ているものじゃないか。ここから東京に出た人にとっては、この風景がノスタルジーなのだな。さて、マンガ喫茶に到着してからも結構忙しかった気がする。これからの計画を立てたり、時刻や宿泊施設を調べたり、こんな日記を書いたり。もう1時だ。そろそろ寝るか。
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