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目次
はじめに〜札幌脱出
雨竜→上川
大雪山の紅葉
オホーツクへ
サロマ湖→網走
網走→知床
試される大地、知床
ノサップへラストスパート
帰路、総括

最東端を目指して〜北海道ツーリング800km


今年の目的地は北海道である。「自転車乗りは結局北海道をめざす」なんて言われると、天邪鬼な私は絶対行くもんか、などと思っていたわけだが、いつの間にやらもう私も大学院生。なかなか優雅に休暇を楽しめるご身分ではなくなってきてしまった。 そのうち行きたくても行けなくなるかも知れない。
今年は9月下旬に土・日・月、金・土・日の連休が連続する。研究室でとれる休暇が5日なので、この連休を休暇で結ベばかなり長く旅ができる。これは今しかない。

さて、今回は北海道を10日かけて走る。プランを大まかに考えるにあたって、

  • 都市部には興味なし。
  • 知床峠とあとー箇所くらいは坂があった方が楽しい。
  • 紅葉が見たい。
  • オホーツク海はけっこう好き。
  • 宗谷岬は以前冬に行ったし、夏〜秋はメジャーで悔しいから行かない。
  • 時間がないので航空券を使い(以前の私なら「プロセスを楽しまないなんて!」と怒ったことだろうが…)かつ高くつかないようにするために、新千歳空港を基点とする。
以上を鑑みて、 「札幌から大雪山系を越えてオホーツク海へ出、それから知床を経由して根室、ノサップ岬を目指す」ことにした。 大丈夫かな?試しに国土地理院の地図で勾配(等高線)をみてみる。どうやら週末によく行く奥多摩に比べればどうということもなさそうである。本当かな? これでいってみよう。

9/15 東京→札幌

今年は学会ラッシュであった。
  • 3月 日本化学会
  • 5月 高分子学会
  • 6月 液晶化学シンポジウム
  • 7月 International Polymer Conference
  • 8月 修士論文中間審査・大学院博士課程入試(学会じゃないけど)
  • 9月 液晶学会討論会
…結局ゴールデンウィーク以外休んでない。正直9月は10日ぐらいから脱け殻のようになって仕事をしていた。疲れすぎである。

そんな15日、荷作りを終えてバッグと自転車をサークルの部室に置き、今日も朝から仕事。なんとなくやる気レスな1日を過ごす。
出発直前に「あれ、この論文にのせるデータ、間違ってない?」とか突っ込まれるが、「まあそれは空と大地の間で考えます。研究室で人生なんて考えられません」とか適当なことをほざいて研究室から逃走。すみませんすみません。研究室の人。

自転車とバッグ3つ、計24kgをかついで羽田へ向かう。正直めちゃめちゃ重いっ。
なんでホームまで階段を7つも降りさせるんだ大江戸線。なんで大門は地下2階からモノレールの地上3階まで歩くんだ、あーもう。しかも心なしか周囲の視線が寒いんですけど。 困憊して空港へ到着。やれやれ。帰りはどこかから家へ荷物を送りつけようっと。

東京の灯を眺めながら離陸して1時間少々、飛行機は真っ暗な新千歳におりた。 空港で荷物を待っていたら放送で呼び出され、自転車を渡された。呼び出されるなんてびっくり。 ここから千歳線731系3連で札幌へ。この車両、異様にごつい前面をもつ最新型で、電車なのに、ディーゼル力ーとつなげてもちゃんと回転数をそろえて走れる変わった奴である。ドアに工アカーテンが装備されてるのも寒冷地ならでは。ちなみに外は12度。けっこう寒い。

札幌市街のホテルに着いて、荷物整理してすぐに寝る。あ、携帯の充電器忘れた。ふふ、好都合じゃないか。現実から隔絶した生活を送ってやる。

9/16 札幌→雨竜104km

1日目。地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
1日目。地図中のコースの色は青:15km/h→赤40km/hに対応します。
今日は札幌市街から頑張って脱出する日である。

ホテルのバイキングでジャガイモや海産物を食べて腹ごしらえをし、自転車を組み立ててまずは札幌市内をぶらぶらする。北大の中なんか走っちゃったりして。
札幌市内。ここからスタート!
札幌市内。ここからスタート!
日本三大がっかり名所なんて言うな。
日本三大がっかり名所なんて言うな。
北大構内。
北大構内。
ポプラ並木は立入禁止。
ポプラ並木は立入禁止。
なんだ、ポプラ並木って立入禁止なのか。ちっ。

9時時計台発。ほどなくして札幌市街は尽き、国道275号はただまっすぐに牧場と田園の中をつき抜けていく。交通量とトラックは環八なみで、ひたすら横を大型車が追いこしていく。交通量が減るのは上川のあたりからかなあ。うーん。
すぐに風景は→
すぐに風景は→
→こんな感じに。
→こんな感じに。
10:05当別着、コンビ二で休む。

11:35中小屋駅着。当別からは道も比較的平和。田んぼの中、途中から合流した札沼線を横に見て、のんびり走る。たまにキハ40単行とすれ違う。
北海道に貨車駅は多い。
北海道に貨車駅は多い。
札沼線
札沼線
今日の目的地は新十津川村の向こう、両竜町。80km程度で大して遠くもないので、尻が痛くなるたびに適当に休んでいる。以前はそんなに痛くなどならなかったのだが、この前シ一トポスト(サドルの下の棒)が大学に行く途中に折れる(!!) という事件があって、交換して以来ちょっとサドルが上向きになっているのがよくないようだ。こんど調整しないと。
12:30頃月形のコンビ二であんぱん補給。
13:30浦臼。ここの駅は診療所と同じ建物で近代的かつ清潔だ。さっきの駅なんて入っただけでクモの巣3つも顔で破っちゃったもんなあ。今日は短距離だし、しばらく休んでいこう。

15:00新十津川。昔奈良県の十津川村の住民が移住し、泥炭地の不毛の地を開拓したところだ。今は田園の広がる肥沃な大地だが、これは彼らによるー種の“テラフォーミング"あってのことである。

開拓記念館は税金つぎ込んだのが見え 見えの立派なレンガ作りの建物であったが、閉まっていた。そんな市街地の一角に札沼線の終点、新十津川駅はひっそりと見捨てられている。 本当に見捨てられているとしか言いようがない。車がひっきり無しに通る国道沿 いにあるこの小さな無人駅に来る列車はわずかに1日3本。さっきから駅に入って休憩しながらこんなものを書いているが、虫の声と車の音しかしない。 さて、今日の目的地、雨竜へ行くとしよう。

新十津川から再び人家は疎らになり、石狩川に沿った田園となる。泥炭地とはいえ、この辺は石狩川の沖積による平野だから土地は豊かなのだ。なんちて、知ったかぶりだが。 雨竜までの10Kmはすぐだったのだが、そこから宿までがまー迷った迷った。あとから見ると非常に惜しいところ、宿のすぐ手前でまちがえて曲がったのが運の尽き。いつもいつもいつもよく迷うもんだなぁ。地図も読めるし、GPSも持ってるんだけどね、目的地の座標がGPSに入ってなかったからねぇ… 宿はとほ宿(北海道を中心とした安い民宿)の「ゆき・ふる・さと」。こぎれいな宿で内装や設備にも配慮の行き届いたところであった。
見捨てられた新十津川駅。
見捨てられた新十津川駅。
こんな市街にあるのに。
こんな市街にあるのに。
石狩川河川敷
石狩川河川敷
今日の宿
今日の宿
今日の客は私だけだったので、宿の主人と話しながら過ごす。この辺のメインの観光地である「雨竜沼湿原」への道が土砂崩れで深刻なダメージを受け、復旧がシーズン終了に間に合わないとかで頭を抱えている様子。いろんな話をしつつ、安焼酎を傾けながら夜は楽しく更けていったのだった。

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SHIMURA Harutoki <tt67136(あっと)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp>

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