9/20 佐呂間→網走89km
5日目。青:15km/h→赤40km/hに対応します。 |
20日、朝7時にライダーハウスを出発し、前日に買っておいたOREOをぼりぼり食ベながら南東の街、網走を目指す。っていうかOREOしか買えなかったんだよね。パンぐらい売ってないのか。この集落は。実は、このあと一緒に泊まっていたライダーに「隣の売店に一個だけ売ってたよ」という情報を頂いたのだが(笑)、一個ですか。どのみち今更遅いよ…
まずはサロマ湖沿いに常呂(ところ)の街を目指す。サロマ湖岸の道はアップダウンが多く、走っていて疲れる。景色は昨日にも増して大スケールの畑と牧場が広がるが、とりあえず坂と格闘している身としてはなかなか見入っていられない。朝の美しいサロマ湖から丘を越えた街、計呂地には交通公園があり、そこの客車がライダーハウスになっている。そう、今日の道程は網走までずっそ湧網線の廃線跡に沿っているのだ。うーん素晴しい。
交通公園の機関車はC58, 客車はオハ34とかだったかな。旧型客車はあまり詳しくない。ライダーハウスの宿泊者はいなかった。出発したあとだったのかも。ここの交園にも軌道自転車があったので近寄ってみると…!お!エンジン付きだあ! なんと軌道原動機付き自転車だったのである。びっくり。
さて、ここから常呂まではなんか長かった。とにかく長かったことしか覚えてない。
常呂はサロマ湖畔の遺跡の町。オホーツクの北方民族は、縄文時代以来の狩猟・採集をごく近代まで行ってきており、その文化は本州〜九州の文化・南方の文化と並んで日本の文化を構成しているのだ。アイヌは縄文のあと弥生に行かずに擦文文化というのに移っていったわけやね。
この地の涯のような街、と言っちゃ失礼か、には東京大学文学部の研究室があり、現在も学生やスタッフが発堀作業にいそしんでいるらしい。国道から道道に分岐して数キロずっと直進すると、広い森の中に東大の施設がある。
竪穴住居などをー通り見て歩いたあと展示館へ。東大の展示館は2つあり、どちらも余りある史料から選り抜いた品を展示していた。残りの多くの出土品はプラスチックのコンテナに入れられて書庫のように所挟しと積まれており、ここで実際に今も研究が行われている様子が面白かった。記帳を見ると東大の人間も多く来ているようだ。文京区7-3-1とか書いてあるし(笑)
さて10:30前に出発、ここから網走まで30km弱は「オホーツクサイクリングロード」を走る。これは主に湧網線の路盤を利用した自転車道だ。常呂を出るところに早速客車が放置されていた。しばらくは見事にずっと湿原。ほんとにずっと湿原。ざわざわとススキが揺れる。
その後ー且途切れたサイクリングロードは国道から大きな看板と共に分岐する。あとはずっと畑の中か森の中、正直退屈だ。
途中能取(のとろ)駅前には碑と旧型客車が残されており、車内に入ることができた。ちょっとパラパラ来たのでやり過ごす。
また何もない道を走ること10km程度、卯原内(うばらない)の集落に出た。サイクリングロード(つまり当時の線路)は交換用に場内で分かれ、その片側にはなんと9600形のSLとオハ47型客車が停まっているではないか。この客車は近所の商店の人に言うと泊めてもらえるらしい。中は椅子が半分残り、あとは畳が敷いてある。併設の記念館は廃止された駅と、小学校の備品が倉庫のように置いてあったが盗難を恐れてか、見たければ近くの商店まで鍵を借りに来い、とあった。
駅を出るとすぐ左に人ごみが。見ると卯原内湖が珊瑚草で真っ赤に色づいていた。綺麗なものだ。
ここから網走までも退屈だった。何にもないところであと30分足だけ動かせ、とか言われてもさー。
最後の6kmは網走刑務所の敷地を走る。広い農場で囚人達が生産活動に励んでいるようだ。
網走市街地に入ったところで右折しっちょっと山に登ると「博物館 網走監獄」がある。レンガ作りの、雰囲気のある建築が多く、資料館には上に書いた国道建設の話から懲罰の与え方諸々など、多くの展示があり、建物内部も人形を用いてよく雰囲気を伝えていた。
売店はなんか「仮出所中」とかそんなTシャツをいろいろ売っていた。
…のはいいんだけど、そろそろお腹減ったんですが。朝OREOだけでずいぶん走ったから明らかに体調が何か変だ。そこで市街へ行き、駅前を通ってショッピングセンターへ。100円のパンを1個たべる。
そういえば、研究室の先輩に「いくら5000円分送って」って言われたんだった。スーパーの値を見ると200g 900円程度、ただの筋子なら1g2円であった(今ちょうど鮭の遡上のシーズンなのだ!)。これを2.5kg、漬け汁とー緒に送り付けるのはステキな嫌がらせに違いない、といそいそ発送力ウンターへ持っていくと、豊満な女性店員が身体を大きく揺らして言うことには「なまものの発送には応じられない」という。仕方ない、やはり観光客相手の物産ショップから送るしかないのか。結局300g送って送料込4000円以上かかってしまった。私の2.5kg計画がー。
網走駅。やっとここまで来た。 |
さて、ここから道は釧網(せんもう)本線に沿っていく。この線も名物駅がいっぱいだ。喫茶店(藻琴(もこと)、北浜)やラーメン屋(止別(やむべつ))、温泉の併設駅(川湯温泉)、原生花園臨時駅など。そしてオホーツクに沿って湿原の中を走る絶景が観客の心を捉える…のはいいけど、私にとっちゃ1日ずっと見てきた風景だ。ま、いいけど。
今日の宿は名物駅「北浜」の近くにある。駅に着いたのが16時過ぎ。ちょうど傾いてきた陽に風景が染まる中、オホーツク海岸すれすれの線路はいい絵になっていた。オホーツク海は東の海だから、夕日は沈んでくれないんだけども。
今日は網走原生花園ユースホステルに泊まる。目の前は原野、斜里(しゃり)岳が見える。ユースに泊まった理由の半分は洗濯のため。あとは山ほど飯を食ってカロリー補給するためだ。いつもどうしても体重は75kgを切れなかったのだが、こっちへ来て今日までであっという間に74kg台に突入。北海道で減る人なんて自転車旅行者ぐらいじゃないのか。タ飯はご飯を5膳食べた。夕飯の席で、北海道に来てはじめて女性の泊まり客と会った。バックバッカーであった。
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