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目次
はじめに〜札幌脱出
雨竜→上川
大雪山の紅葉
オホーツクへ
サロマ湖→網走
網走→知床
試される大地、知床
ノサップへラストスパート
帰路、総括

9/22 知床峠→標津69km

7日目。青:15km/h→赤40km/hに対応します。
7日目。青:15km/h→赤40km/hに対応します。
明日は雨らしい。今日も天気は下り坂。朝越える「知床峠」が今回のツーリングで最もハードかつエキサイティングな区間だ。さて、どうなりますことやら…

朝8:30過ぎに宿を発ち、さくさくと登坂していく。昨日宇登呂の郵便局から余計な荷物(予備電池や途中旭川や網走で買った本など)をゆうパックで送っておいたので、それほど苦痛ではない。…たぶん。

標高はあっという間に100mを越え、宇登呂の街ははるか下に去った。さっきまで同じ部屋だったレンタカーの人が、クラクションを鳴らして抜いていった。知床観光(自然破壊と言ったほうがいいかしら?(笑))の拠点の自然センターを過ぎると、坂はずっと明るい原生林の中を登っていく。
登坂しながらウトロの集落をのぞむ。
登坂しながらウトロの集落をのぞむ。
鹿とかうじゃうじゃ。
鹿とかうじゃうじゃ。
勾配は5%ぐらいか。エゾシカは道ばたにたくさんいる。野生動物が多いな、と標高400mを過ぎたあたりで…

ク、熊ー!!!

矢印の所に熊がいます。道を渡ってるうちは手が震えて撮れなかったので写ってません(意味ねー)。
矢印の所に熊がいます。道を渡ってるうちは手が震えて撮れなかったので写ってません(意味ねー)。
大きなヒグマが前方数十mのところを横断していった。駆け技ける戦慄。やばい。視界から消えても絶対そこにいる。ど、どうしよう。 引き返して延々と知床の根本まで戻り100km近く迂回するか。うーん。

…。

気をつけて自分の存在を熊にアピールしながら(突然驚かせるのが一番危険)そのあと急いで登板して逃げよう。

なんかさっき「最もハードかつエキサイティングになりそう」とか書いたけどさ、今すごくハードかつエキサイティングよ? 死にそうよ?

服2枚の上にセーターとアラミドのウィンドブレー力ーを着込み、べルを鳴らしながらそろそろと熊の出たところを過ぎた時点で一気に加速。坂なので12〜15 km/hぐらいしか出ないが、もう必死である。服を出したバッグを閉めることすら忘れていた。標高500, 600, 650, …周囲はずっと変わらない原生林。この森は本当に知床の大自然だ。俺はサファリパークに生身で踏み込んでいる。ま、まずい。

…700, 750,峠! 観光バスや車がたくさん止まっているのでここなら熊も出てこないだろう。息を切らして「知床峠」の碑の前で自転車にもたれていたら、
「何でそんなところに立つのよ?(写真撮影の邪魔)」
と観光バスのツアー客から非難の声が飛ぶ。 うるせえぞ婆ぁ。こっちは生きた心地もしないで必死に走ってきたんだぞ。ちょっとこっちが動けるようになるまで待ってろ、馬鹿。
登ってきた道とオホーツク海をのぞむ。この原生林は自然の宝庫だ。
登ってきた道とオホーツク海をのぞむ。この原生林は自然の宝庫だ。
とりあえず婆さんの邪魔しながら一枚(^^
とりあえず婆さんの邪魔しながら一枚(^^

ふらふらする足を落ち着けて、羅臼(らうす)側へと下りはじめる。オホーツク海、そして国後島をすぐ近く望む絶景を前に、再び樹海へと自転車は入っていく。今日の天気は下り坂、南風が強く速度は一向に上がらない。道は非常に安定した高速コーナーの連続。バイクにとっては「急カーブ」とツーリングマップルには書いてあるが、せいぜい40km/hの私には関係のないことだ。「翔雲橋」なんていうすごい名前の橋で樹海を飛び越える。降りた羅臼の街は意外に大きく、港を中心に広いエリアにわたっていた。
羅臼市街。
羅臼市街。
北方領土、国後島。
北方領土、国後島。
ここから今日の目標地、標津(しべつ)町以茶似(いちゃに)までは、国道335号線をずっと40kmぐらい。漁港の街を10kmぐらいだらだらと走る。あー。さっきの知床の登りより遅いよ。やる気ないな俺。

そのあと標高80m程度の低い「羅臼峠」を越えると、道はひたすら海に沿って小さいアップダウンを繰り返し続けるようになる。向かい風で速度は上がらない。下り坂で時速13 km/hってどういうことよ。全くやる気レス。あと20km以上もこれかよ。風景はずーっと原生林。何十分経っても変わらない。あーつまらん。何もないのもいい加減にしてくれ。
知床から数十km、ほぼずっと原生林が続く。もうやる気レス。
知床から数十km、ほぼずっと原生林が続く。もうやる気レス。
途中わずかにある集落。羅臼から一日4本釧路行き路線バスが通る。百数十kmを走る凄い路線バスである。
途中わずかにある集落。羅臼から一日4本釧路行き路線バスが通る。百数十kmを走る凄い路線バスである。
ま、「ずっとくるくる回してりゃ着く(某先輩談)」ということで、14:10に目的地のライダーハウス到着。国後島を望む荒地はどうみても「最涯(は)て」としか言いようもないのに、その中に美しい木造りの力フェレストラン「CUBS」が建っている。それに併設されたライダーハウスに、500円で泊めてもらえるのだ。店内は細かいところまで店主の配慮が行き届いていて、ステレオでサザンがかかってきた。どうやらジブリが好きらしく、店の天井はトトロとサツキとメイ、ライダーハウスも名前は「ラピュタ」だ。トイレの中もジブリキャラでいっぱい。ま、奴らを前にズボンを降ろすのも微妙ではありますがね。(笑)
レストラン「trattoria CUBS」
レストラン「trattoria CUBS」
併設のライダーハウス。
併設のライダーハウス。

そういえば、昨日のとほ宿も大量の少女漫画があったなあ。日渡早紀の作品が全部揃ってたりとか。作者で揃えるようになると濃いですな。ここにも「ぼくの地球を守って」は16巻まであるけど。
ここの店主は折り畳み小径車に目がないらしく、私の自転車も目に止まった。以前はr&m BD-1(私のと同型車)も所有していたそうな。Panasonicの、見たこともない格好いい小径車が止まっていた。他にも合計4台持っているそうだ。

ここの飯は美味い。クッパにスープ, 自家製チーズのイタリアンサラダ、 カレイの煮付け、肉料理あわせて1000円以下、しかもクッパお代わりし放題。アイスも自家製の美味しいのが大量にクリームとー緒に乗って350円。
夕飯。美味い。
夕飯。美味い。
アイス。大きい。
アイス。大きい。
宿泊客は、鮭からイクラを取り出す水産加工のバイトをやってここで長期滞在している人が一番多く、次が連泊して鮭を釣ってる人、その次がライダーと私。 ちなみに、鮭は川から離れた海で釣っている限りは自由なのだが、川または河口で釣るためには「調査」という名目で自治体に申請しなければならないのだ。
風呂はオホーツク海に面した五右衛門風呂を勝手に湧かして入るのだが、私は下手だった。途中で、その鮭の解体をやってる女の子に代わってもらった。しかし気付くと淒いことやってるなぁ。熊に会ったあとは最涯ての海で風呂湧かしか。しかも風呂に電灯ないから、懐中電灯つけないと服がどこか分からない、という(笑)

そんな感じで夜はふけていくのだった。
明日は雨。日程に余裕もあるし、ここはいい所だし、もう1日ゆっくりしていくか。
ライダーハウス内部。
ライダーハウス内部。

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SHIMURA Harutoki <tt67136(あっと)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp>

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